「住宅ローン金利」どこが安い?銀行別ランキング 金利が上昇しても、"変動一択"と言えるワケ
東洋経済オンライン / 2024年12月16日 7時30分
これまで日本の住宅ローンは、「借りたものは必ず返す」という勤勉な国民性と、終身雇用による長期安定収入という世界にもまれな環境によって、貸倒率がわずか約0.1%に抑えられている。それゆえに驚異的な低金利で貸し出される最強の金融商品だ。
繰り上げ返済で得られる精神的メリット(借金からの解放)は否定しないが、収益機会を手放すデメリットにも目を向けるべきである。そのまま住宅ローンを返済しながらの「変動金利+資産運用」が最強の組み合わせなのである。
ただ、金利上昇リスクを心配して住宅ローンを借りない、もしくは固定金利を選ぶのは不合理だが、かといって変動金利にまったく心配がないと決めつけるのも、都合のよい解釈だろう。
借入額は最大でも「年収の7倍」に収めたい
最後に変動金利のユーザーに向けて、借り換え、借入額のコントロール、長期分散・積み立て投資について、ポイントを伝えておきたい。
まず借り換えだが、変動金利が0.7%以上であれば、借り換え諸費用(約3%)を考慮しても、金利を減らせる確率が高い。基準金利が10月に上がり、多くの人の変動金利が上昇している今こそ、見直しのチャンスだ。
なお、モゲチェックの借り換えユーザーでは、約200万円の金利を削減できた例もある。どうせ今後金利が上がるのなら、今のうちに借り換えて、金利を下げたほうが圧倒的に有利である。
また借入額については、予期せぬ金利上昇を見据えて、一時的に2%程度まで金利が上昇したとしても、何とか返済できる金額にとどめておくこと。目安として「年収の5倍まで」「最大でも年収の7倍まで」には収めたい。
仮に、都心の高額なタワーマンションの購入で、値上がり益を狙うため、7倍以上の借り入れをすることには一理あるかもしれない。だが、背伸びして借り入れる分、リスクを背負っていることは、認識したほうがいいだろう。
そして長期分散・積み立て投資では、固定金利で借りているつもりで、変動金利との差額分を資産運用に回すのも一手。運用先としては新NISA(少額投資非課税制度)なども候補となる。これからの時代は緩やかなインフレが想定されるため、値上がりしやすい資産に現金を移し、インフレを追い風にすることが重要だ。
金利は経済の体温計であり、金利上昇は経済正常化の証しだ。賃金も上がるわけであり、悪い話ばかりではない。家計を管理する重要性は増すものの、悲観的になりすぎる必要もないのである。
塩澤 崇:MFS 取締役CMO、住宅ローンアナリスト
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