LINEヤフー「フルリモート廃止」は当然といえる訳 GAFAは週3回の出社で世界的に趨勢が変化
東洋経済オンライン / 2024年12月17日 17時25分
評価の面でもそれぞれの社員に要求する業務や、求める能力が言語化されてきていて、それに対して半年でどこまで到達しているのかはリモートでも一定の評価方法が定着してきました。
以前、2010年代の会社シーンでは、出社していても仕事をしているふりをしているだけでネットサーフィンをしていてもばれないような会社もあったのですが、リモートワークが定着すると逆にずっとパソコン画面を注意して見ていないといけなくなり、むしろさぼりにくくなったという意見があるぐらいです。
もちろん出社時とは違って、服装がルーズでいいとか、姿勢はソファに寝転がってとか、全体的にだらける傾向にはあるようですが、だらけと生産性は別問題です。自宅だとうるさくて仕事に集中できないという社員の場合、積極的に出社を選べるなど制度にも柔軟性が加わりました。
このように管理と評価の問題がクリアされたことで、生産性という視点では実はリモートワークのほうが会社にとって都合がいい場合も散見されるようになりました。
ではそこまで進化したリモートワークがGAFAを中心に縮小の流れにある理由は何なのでしょうか? 一番大きな問題として挙げられるのは、コミュニケーション不足にともなうチームワーク力の低下のようです。
会社は人間の組織である以上、組織力というものは重要な経営要素です。日常的に顔を合わせてさまざまな摩擦が生じることで逆に結束が強まりチーム力が生まれるといった効果には社会学的には無視できないパワーがあります。
単純な例としては、何か近くでトラブルが起きている際に、自分の担当ではなくても手をさしのべて助けるかどうかは、その相手との心の距離感が関係してきます。日常的に同じ場所で働いていて顔をつきあわせているケースと、リモート画面では顔をつきあわせてはいるけれども異動後にチームメンバー同士が会う機会が少ないケースでは、前者のほうが協力度合は各段に強くなる傾向があります。
またコミュニケーションを通じて創造性が生まれる機会も重要です。職場における雑談にも重要性があって、これは生産性を妨げる要素ではなく、むしろ創造性を生むプロセスであると考えられます。部署が違う社員同士が喫煙所で言葉を交わすうちに、いいアイデアが生まれるという喫煙所効果は、ビジネスの現場では無視できないほど重要な要素なのです。
GAFAの週3回出社と比べると「微修正」
LINEヤフーの場合、事業部門で週1回、コーポレート部門では月1回と出社要求頻度が異なる背景としては、事業部門のほうがよりチームとしての結束力がビジネスとして重視される側面があるということだと考えられます。
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