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LINEヤフー「フルリモート廃止」は当然といえる訳 GAFAは週3回の出社で世界的に趨勢が変化

東洋経済オンライン / 2024年12月17日 17時25分

では逆説的に専門社員の場合は結束力はそれほど必要ないので出社しなくてもいいということなのでしょうか? たとえば法務部門の社員などは月1回の出社でいいというのは適正レベルなのでしょうか? コロナ禍以前からリモートでの分業スタイルが定着している開発部門の社員などまったく出社しなくてもいいのではないのかと言われたらどう答えるべきでしょう?

GAFAの場合、チームの結束に加えて2番目の要素として重視されていることが企業文化の維持強化です。専門社員であればあるほど、放置すれば一匹狼に進化するのが自然です。一方でビジネスを遂行する大組織としては組織文化は重要な要素ですし、それが顧客から見ればブランドとして機能します。そのためだけの目的でも専門社員もGAFAでは週3回職場で顔を合わせるという制度には一定の意味があるのです。

このようにフルリモート廃止の理由を整理していくと、次の考察としてLINEヤフーの制度改正はそれでも世界の趨勢と比較すればフルリモートに極めて近い制度への微修正にすぎないことがわかります。週3回勤務が世界の趨勢なのに、月1回で済むのですから、沖縄の先島諸島から勤務している本社勤務社員のような人にとっての影響は軽微に見えます。

だとしたら当事者たちの切実な問題としては、この状況がまだ途中のステップであって、いずれGAFAと同じぐらい踏み込んだフルリモート廃止につながるかもしれないという不安かもしれません。

フルリモート廃止にともなう離職リスク

これは3番目の疑問として挙げた離職リスクと表裏の話になります。フルリモートを前提にLINEヤフーに転職した社員にとっては、フルリモートの部分廃止は契約前提の変化です。物理的な環境が制約になって契約変更に応じられない場合、離職は現実的な選択肢のひとつになります。

フルリモート廃止にともなう離職リスクについては、GAFA並に制度が変更された場合には約2割前後の社員がそれを検討するとするという調査結果があります。

フルリモート廃止を検討する企業にとってはこの数字が現実的な検討の尺度となるでしょう。前提が変われば優秀な社員が一定数減ることは仕方ないとして、どこまで減るかが企業にとっては問題です。

LINEヤフーの場合、2割前後に影響が出るのはさすがに影響が大きいことから、まずは月1回、ないしは事業部門では週一回という形に制度がおちついたのでしょう。同様にリモートワークを魅力に転職者を集めてきたITベンチャーは、このLINEヤフーの動向を注視することでしょう。

さて話をまとめます。コロナ禍をきっかけにビジネスの世界に浸透したリモートワークですが、世界の趨勢としてはビジネスの成果として考えた場合のフルリモートの欠点も見えてきたようで、ITが進んだ企業でも半々ぐらいの落としどころに現時点での最適地があるようです。

もちろんその最適地は業種や企業によっても異なるのですが、とはいえフルリモートという一番振り切った制度は世界的には最適ではなくなりつつあるというのが起きている現象です。LINEヤフーの制度変更は、一部残念な気持ちをかきたてるニュースではありますが、仕方のない世の中の流れだと言うべきだというのが結論です。

鈴木 貴博:経済評論家、百年コンサルティング代表

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