西武・東武・JR集結「小江戸川越」どの路線で行く? 各社が通勤通学・観光両面の需要取り込み競う
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 6時30分
東京のターミナル駅まで約30分という利便性を持ち、人口約35万人のベッドタウンでありながら、「小江戸」と呼ばれ年間700万人以上が訪れる観光地でもある埼玉県川越市は、首都圏の都市の中でも独特の存在と言えるだろう。
【写真を見る】これは貴重!1965年当時の西武新宿線・本川越駅の様子。そして現在、JRと東武鉄道を加えた3社が乗り入れる川越の街は平日も多くの観光客でにぎわっている
その歴史は古く、平安時代に喜多院(川越大師)が創建され、河越氏が河越荘という領地を開いたことなどから栄え始め、室町時代には川越城、江戸時代には時の鐘が建てられた。蔵造りのまちなみは、明治時代の大火で耐火建築が求められたことが発端と言われる。
古くからの鉄道の要衝
交通は室町時代に江戸城と川越城を結ぶ川越街道の原型が作られ、江戸時代には市中心部の東側を流れる新河岸川で舟運が始まり、この地で栽培されたサツマイモが江戸に運ばれ、人気になったという。簡単に歴史を振り返っただけでも、小江戸と呼ばれる理由が理解できるのではないだろうか。
そして明治時代に入ると、鉄道の乗り入れが始まる。
【写真】1965年当時の西武新宿線・本川越駅の様子。それから60年後の現在、JRと東武鉄道、西武鉄道の3社が乗り入れる川越の街は平日も多くの観光客でにぎわう
最初に開業したのは西武鉄道新宿線で、川越鉄道として、1895年に久米川(仮駅)―本川越間が開業した。当時の川越の中心市街地は蔵のまちがある地域で、駅はその南側に、川越駅として置かれた。
ちなみに川越鉄道の起点は国分寺駅で、前年に国分寺―久米川(仮)間が開業していた。なぜ国分寺駅が起点だったかというと、同駅で接続するJR東日本中央線は、当時は甲武鉄道という会社で、川越鉄道に対して強い影響力を持っていたことが大きいとされる。
ゆえに川越鉄道の営業は甲武鉄道に委託され、全列車が甲武鉄道の飯田町(現在の飯田橋駅付近)に乗り入れるなど、甲武鉄道の支線のような存在だった。
「西武大宮線」と「東上鉄道」
続いて開業したのは現存しない西武大宮線で、こちらは川越電気鉄道として、1906年に大宮―川越久保町間が開業する。川越久保町は本川越駅の東側にある喜多院の近くにあった。近くには川越電気鉄道による埼玉県初の火力発電所が作られ、電車だけでなく町内への電力を供給していた。
東武鉄道東上線が、「東上鉄道」として川越に乗り入れたのは、1914年のことだった。ただしこの時は川越駅はなく、川越市駅が川越町駅としてあるのみだった。翌年、現在の川越駅の位置に、川越西町駅が追加されている。
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