「人生の最終盤」で誰しもが直面する"3つの憂い" 「きっちり」食べないと、問題はより深刻になる
東洋経済オンライン / 2024年12月27日 18時30分
「長く生きていればたいがいのことはわかります」。穏やかな人柄からは想像できないような鋭い舌鋒で、さまざまな社会問題に切り込んできた樋口恵子氏も、なんと今年で御年92歳を迎えたそうです。
そんな樋口氏は、人生の最終盤で直面する課題に対応するために、どんな心がまえが必要だと考えているのでしょうか。同氏の著書『そうだ! ヒグチさんに聞いてみよう 92歳に学ぶ老いを楽しく生きるコツ』に寄せられた読者のお悩みから、一部を抜粋・編集してお届けします。
高齢者の12人に1人が「老人性うつ」
もうすぐ80歳を迎えます。このところ毎日、家で1人寂しいなあ、と思いながら暮らしています。気持ちは落ち込んでいくばかりです。昔は明るく元気だったので、その頃に戻りたいのです。
質問を読みますと老人性うつの初期症状かもしれませんね。私が対談させていただいた精神科医の和田秀樹先生によると、老人性うつになると家に閉じこもるようになり、テレビの前で1日ボーッと過ごすようになるそうです。
そんな生活が続くと身体機能や認知機能は低下します。認知症を併発したり筋力が低下して、サルコペニアになってしまう場合もあるようです。
相談者さんのような抑うつ気分の人を含めれば、老人性うつは300万人もいると推測されているとのこと。2023年の高齢者人口3623万人と考えれば、実に12人に1人の割合です。とても多いのです。
今から振り返れば、あれは〈老人性うつ〉だったのかなと思う体験を私もしました。家の建て替えをした84歳の頃です。築40年くらいの家でしたが、耐震検査をしたところ、「次に大きな地震が来たら倒壊の恐れがある」と言われ、ご近所迷惑にならないように建て替える決心をしました。
それからが大変です。一時的に住む場所には入りきらないほどのモノを整理しなければなりませんでした。仕事柄、本や資料が大量にあります。思い出が染みついたモノたちも。1つひとつ吟味して処分していたのですが、とてもつらい作業でした。大きな喪失感があり、〈片づけうつ〉になったようです。
追い打ちをかけたのは高額の出費です。有料老人ホームにでも入ろうかと貯金していた虎の子が、なくなってしまったのです。
後出の初期症状チェックを自分でやってみると、医者にかかったわけではないのですが、うつだったと思います。
そんな時、助手の人たちが「大丈夫、あの資料は捨てていません。あそこにあります」「お金は、まだこれだけあります」と励ましてくれました。家の建て替えをきっかけに原稿の注文も増えて、仕事をしていると不安も和らぎます。
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