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「人生の最終盤」で誰しもが直面する"3つの憂い" 「きっちり」食べないと、問題はより深刻になる

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 18時30分

実は私も実家の墓じまいをしました。私は、早くにきょうだいを亡くした、実質「一人っ子」です。自身の子どもも一人っ子のため、自らを「一人っ子のベテラン」と称しています。相談者さんも一人っ子のようですね。

私の実家である「柴田」家の墓は都内の寺にあります。両親と、私が生まれる前に亡くなった姉と中学生の頃に亡くなった兄ら、計5人の遺骨が納められています。このお墓を「一人っ子」として守り続けてきました。

でも、お寺から「合同慰霊塔を作ったので、お墓を移したい方はそちらに」という話を聞き、娘は墓守りを受け継ぐのは嫌だと言いますので、いろいろ考えて墓じまいする決心をしました。

金額は、お寺によっても違うらしいのですが、私の場合、遺骨1柱あたりに費用がかかり、5柱だと結構な金額になりました。でも後顧の憂いを残さないよう契約しました。先日墓じまいの法要を行い、無事5柱を合同慰霊塔に納めました。私自身もそこに入れてもらうことになります。

高齢社会をよくする女性の会では、葬儀やお墓の話がよく話題になります。新潟で墓じまいをされた方のお話をうかがいました。

新潟なので1柱あたりの金額は東京より少しお安かったようですが、お墓の中には知らない先祖の遺骨を含めて18柱あったので、総額はかなりの額になってしまったとのことです。先祖代々の墓ですと、こういったこともあるので気をつけなければなりません。

行政が責任を持つスウェーデンの「墓じまい」

10年ほど前に、高齢社会をよくする女性の会役員5人で北欧を旅しました。ノルウェーやスウェーデンの福祉事情を見聞したのです。その時、お墓事情も聞く機会がありました。お墓の前で、お棺に入るというパフォーマンスもいたしました。「不謹慎です」と叱られましたが。

スウェーデンでも墓じまいは行われていました。ただ、行政がするのです。街には公営の霊園がありました。そこと契約し、埋葬されたあと20年から30年、つまり1世代の年月がたつと墓じまいとなり、新しい方が埋葬されます。受け継ぐ意思をもつ子孫がいれば延長できます。非常にスムーズにいっているようです。

人は、地域で育ち、地域で働き、地域で眠る。「育つ」「眠る」は行政が配慮すべきことだと思います。

霊園の場所を提供して、地域住民と契約し、管理する、そういうことを市区町村でやっていただきたいと考えています。これからは、地域とお墓という考えが一般的になるのではないかと、今後も研究して提案していきたいと思います。

東京都では多磨霊園などの公営だと、もう少し墓じまい費用も安いようです。もっと身近に公営の霊園を作っていただきたいところです。相談者さんも情報を集めて、損のないように考えてくださいね。

樋口 恵子:東京家政大学名誉教授/NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」名誉理事長

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