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絶滅危惧船「ホーバークラフト」大分で復活の理由 定期運航は世界で1カ所のみの"爆音"珍乗り物

東洋経済オンライン / 2024年12月29日 8時0分

日本でも、本州・四国を結ぶ「宇高航路」(岡山県・宇野港~香川県・高松港)、「日本ホーバーライン」(大阪南港~徳島港)、ほか石垣島~竹富島、能登半島などで就航。なかには伊勢湾のように、大手私鉄(名鉄・近鉄)系列の2社が、ホーバークラフト同士で熾烈な競争を繰り広げていた地域まである。

就航地の多くは、海を挟んだ中心都市(日本なら宇野~高松)間でフェリー・旅客船が頻繁に運航するような需要が、もともとあったような場所だ。ホーバークラフトは、これらの航路の「急行便」「快速便」として投入され、各地ともフェリー・旅客船の半分以下の所要時間で移動できるかわりに、強気な価格設定で収益を稼いでいた。

例えば、1988年に廃止された宇高航路(宇野港~高松港)は通常便が1時間、ホーバークラフト「とびうお」はたったの23分。ただし「とびうお」に乗船するには、500円の通常料金+1100円の「宇高ホーバー券」を別途で支払うという、3倍以上の料金を徴取していた(1987年3月 時刻表より)。しかし、途中で通常便を追い抜いて1本早い接続列車に乗れたこともあり、利用者はそれなりに多かったという。

「未来の旅客船」の多すぎた弱点

1970年代には子供向けの科学雑誌で、ホーバークラフトが「夢の超・高速船」「未来の船」として頻繁に登場し、誰もがこの先の普及を疑わなかった。しかし実際には、鳴り物入りで導入されたにもかかわらず、世界中の就航地から姿を消していく。理由はさまざまだ。

まず、ホーバークラフトは海面から浮いて進むため、海水の支え(浮力)があるフェリーと比べて重力がかかり、船体を大きくできない(物理でいう「2乗3乗の法則」に基づく)。

今回採用されたホーバークラフトくらいの規模だと、運べる乗客はフェリーに比べて半分~1/3程度(50~150人、今回の船体は定員80人)にとどまり、船会社にとって実入りが良いマイカー・トラック・貨物も積めない。そのうえに、ファンやプロペラを回す燃費が桁外れにかかり、空気を溜めるゴムのスカートも定期的に交換が必要となる。ホーバークラフトは「収入を得づらい、コストはかかる」状態であり、無理な値上げで客離れを起こす航路も少なくなかった。

また、浮上して進むために強風・横風に弱く、大分でも欠航が年20日程度は生じていたという。陸地で並行する国道213号も霧や風による通行規制に悩まされていたが、ホーバークラフトも同様に休航していては、クルマやバスから顧客を奪えるわけがない。

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