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真面目な親が陥る"闇バイト"の温床になる子育て 親は子供にとって「指示役」になってはいないか?

東洋経済オンライン / 2024年12月30日 9時20分

このバイトを始めて3カ月ほど経った頃、警察がアパートにやってきて逮捕された。トモヤは少年鑑別所に入所した。面会に来た両親は、激しく怒り、悲しんだ。

「してはいけないことを、あれほど教えてきたのにお前は何を聞いていたんだ!」

「そんなふうに育てた覚えはない!」

ふたりはトモヤを責め続けるのだった……。

ムチで動かす子育てを続けると…

「~しなさい」と命令して人を動かすのはラクです。

子どもに対して「~しなかったら鬼が来るよ」「~できなければ食事抜きだよ」などと恐怖を与えてやらせるのは、簡単です。しかし、それでは子ども自身の主体性が育まれません。自主的に判断して動くことができない子になってしまいます。

主体性が低ければ、社会でやっていくのは難しいと言わざるを得ません。いまの時代、いわゆる「指示待ち人間」を歓迎する職場はまずありません。事例に出てきたトモヤは、闇バイトを通じて特殊詐欺に加担することとなりました。

犯罪だとわかっていながら、躊躇せずにやりました。指示された通りに動くだけ。それはトモヤにとって馴染みのあることです。指示されたら、何も考えずにその通りにすればいい。「それは本当に正しいのだろうか?」という疑念を封じ込め、命令に従いました。

こういった闇バイトで捕まる非行少年たちは、多くは自立が難しい子です。普通のバイトがつとまらず、現状を打開するような策を考えることもできません。指示通りに動くことはできるし、ある意味真面目なのですが、それだけでは社会生活ができないのです。

知っているのに騙される、特殊詐欺

さて、トモヤが関わってしまった特殊詐欺について。

犯罪全体の数は減少を続けている中で、増加しているものがいくつかあります。特殊詐欺はその1つです。

警察庁の定義によれば、特殊詐欺とは「被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪」を指します。詐欺は昔からある古典的な犯罪ですが、近年インターネット等を使って犯罪に加担する人を増やし、被害を増やしています。

令和4年の特殊詐欺の認知件数は1万7570件で、被害額は370.8億円。いずれも前年に比べて増加しています。特殊詐欺の手口については、よくメディアでも取り上げられていますし、広く認知されていると思います。特殊詐欺撲滅を目指して、金融機関や役所等に啓蒙ポスターが貼られているのを見たことがある人も多いでしょう。

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