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真面目な親が陥る"闇バイト"の温床になる子育て 親は子供にとって「指示役」になってはいないか?

東洋経済オンライン / 2024年12月30日 9時20分

それなのになぜ、いっこうに減らないのでしょうか。特殊詐欺は防ぐのが難しい犯罪です。警察や役所も啓蒙活動を頑張っていますが、なかなか思うような成果を上げられていません。事実、私も警視庁や東京都庁の特殊詐欺対策に深く関わっており、その防犯の難しさを目の当たりにしています。

ほとんどの人は、まさか自分がターゲットにされるとは思っていないのでしょう。心理学的に言うと、「認知バイアス」が働いています。とくに、自分に都合のいい情報しか耳に入らないという「確証バイアス」と、異常なことが起きたときに「たいしたことじゃない」と考えて心を落ち着かせようとする「正常性バイアス」が働き、合理的な判断ができなくなってしまいます。

騙す側も、信頼されるような話し方をしつつ、考える余裕を与えないなど巧妙な心理テクニックを使い、正常な判断をさせないようにしています。通常なら冷静に考えることができる人でも、パニック状態にあってはそうもいきません。

警察や役所もあれこれ手を打っているのですが、特殊詐欺首謀者はその上をいこうとするいたちごっこになっているのが現状です。

事例に出てきたトモヤもそうであったように、近年増えている特殊詐欺の手口では、実行犯をバイトとして短期的に雇っています。指定された住所へ行って紙袋を受け取り、コインロッカーに入れるだけという簡単なバイトで、高額の報酬がもらえるのです。

そのほか、銀行口座を貸す、携帯電話を貸すなど、簡単に高額の報酬がもらえる闇バイトが存在します。

普通はおかしいなと思うわけですが、「知らなかった」と言えば済むと考えてしまう。実際、雇われている側の人はほとんど何も知りません。目的も知らされませんし、首謀者は誰で、どこにいるのかもよくわからないままにやっています。そして、残念ながら捕まるのは雇われている側です。首謀者は行方がわからないのです。

ですから、特殊詐欺の認知件数として出ている数字よりはるかに多い数の犯罪が起きているはずです。統計には表れていない件数(暗数と言います)が相当多いことが推測されます。

犯罪素人が複雑化する犯罪に巻き込まれないために

たとえ知らなかったとしても、特殊詐欺に加担していることは100%犯罪になります。言い逃れはできません。絶対に加担してはダメなのです。

しかし、逮捕されて初めて「そんなにやばいことだったのですか?」と驚く人がいることも事実です。さすがに普通ではないことはわかっていますが、「軽い気持ちで」やってしまったという人も少なくありません。そう仕組まれているということです。

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