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日本の正月料理はなぜ、世界的にも「特殊」なのか 世界の人たちは新年に何を食べているのか

東洋経済オンライン / 2025年1月1日 8時40分

(写真:shige hattori/PIXTA)

あるときはキューバの家庭の台所に立ち、またあるときはブルガリアでヨーグルト料理を探究して牧場へ向かう。訪れた国と地域は25︎以上、滞在した家庭は150以上。世界各地の家庭を巡りながら一緒に料理をし、その土地の食を通じて社会や暮らしに迫る「世界の台所探検家」の岡根谷実里さん。今回は特別編。世界では年末や新年に何を食べるのかを探りながら、日本の「正月料理」の“特殊性”について考えます。

正月料理を用意するのは日本だけ?

年末が近づくと、世界の正月料理について書いてほしいという依頼をしばしばいただく。確かに日本はお節料理にお雑煮にと、この時だけ食べるものがたくさんあり、「では世界は?」と気になるものだ。

【写真】ブルガリアで12月31日に食べられるヨーグルトチーズパイには「おみくじ」が入っている

だが、これが案外難しい。というのも、実際訪れたり話を聞いたりすると、「新年だからこれを食べる」というものがあまりないのだ。あったとしても、1年のうちで他の時期にも食べるハレの日料理だったり、「ぶどうを12粒食べる」といった簡単な風習だったり。日本のように、新年にしか食べない特別な料理をいくつも用意する文化には、未だ出会ったことがない。

はて、なぜなのか。

日本以外の国では新年にどんなものを食べているのかを眺めたうえで、日本は何が特殊で、なぜそうなっているのかを考察してみたい。なお、世界をひと括りにするのは広すぎるので、ここでは主にヨーロッパおよび歴史的に彼らが進出した南北アメリカについて考えることにする。

新年に食べる料理は何か。世界各地の家族たちに聞いてみた。

「0時の鐘に合わせて、ぶどうを12粒食べるよ」と語るのはコロンビアの家族。これはスペインからもたらされた風習らしく、コロンビアだけでなく南米各地で耳にした。多少のバリエーションはあるものの、12カ月になぞらえて12粒のぶどうを食べることで新しい年の幸福を願うようだ。

料理はというと、「大鍋でアヒアコ(コロンビアの代表料理のじゃがいもスープ)を作って家族で食べるかな」と、他の多くの祝い事の日と同様。新年だけの特別な料理というのはないそうだ。

イタリアの家族は「レンズ豆煮込みを食べるよ」と教えてくれた。レンズ豆なんて極めて日常的な食材で、しかもご馳走というよりはつつましい食材。貧者の食と言われることすらある。しかし、レンズ豆はそんなつつましいイメージと同時に、縁起のいいものでもある。「豆の形が硬貨みたいで、しかも膨らんで増えるからお金持ちを連想させるんだよ!」。

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