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インボイス事業者じゃないと損する職種はあるか いまさら聞けないインボイス制度の超基本(下)

東洋経済オンライン / 2025年1月6日 18時0分

(写真:mapo/PIXTA)

会社に縛られず、自分の裁量下で仕事を進められる「フリーランス」に転身する人が増えています。しかし、“自由な働き方”の裏で、さまざまな誤算に見舞われ、生活が立ちゆかなくなったり、買いたたきにより尊厳を奪われたりする事態も。安定的に稼ぐためにフリーランサーが知っておきたい「マネーリテラシー」とは――。

フリーランス歴10年の文系ブックライターが、『YouTuber公認会計士がギリギリまで教える フリーランスになったらまっさきに読むお金と税金の話』を上梓した小山晃弘氏に、インボイス制度の超基本について聞きました。

「仕入税額控除」とは何か

郷和貴(以下、郷):先ほど「クライアントが損をする」とおっしゃっていましたけど、どういう意味ですか?

小山:文房具屋さんのたとえでいうと、郷さんがそこの店主で、出版社がお客さんだと思ってください。

出版社が郷さんから110円でペンを買って自分たちで使ったら、10円の消費税は支払いっぱなしですよね。その10円を郷さんが国に納めようと、晩酌代に使おうと、出版社は知ったことではありません。国が、10円を取りっぱぐれて悔しがるだけの話です。

郷:そうですね。

小山:でも仮に、出版社が郷さんから買ったペンを加工して、私に300円で売るとしましょう。私は商品価格の300円プラス30円の消費税を出版社に支払います。すると今度は、出版社が「国に納めるべき30円」を預かった状態になるんです。

郷:ふんふん。

小山:で、ここからがポイント。「出版社は小山から消費税30円を預かっているけど、仕入れのときに郷さんにすでに消費税10円を支払っているから、国に納める消費税は30円から10円を引いた20円だけでいいよ」という仕組みがあるんです。

郷:な、なんでいま10円引いたんですか?

小山:10円を国に納めるのは郷さんの担当だからです。図にするとわかりやすいんですけど、どんな商品やサービスでも基本的にサプライチェーンがあって、最後に最終製品があり、それを買う最終消費者がいますよね。消費税って、この最終製品にかかるというか、最終消費者からのみ徴収するというのが基本設計なんです。

でも、もし出版社が30円を国に納め、郷さんも10円を納めると、最終製品は300円なのに、国は40円もらってしまうことになりますね。これはとりすぎ。それを避けるために、仕入れにかかった消費税は、顧客から預かった消費税から引いていいという「仕入税額控除」と呼ばれる制度があるんです。

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