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インボイス事業者じゃないと損する職種はあるか いまさら聞けないインボイス制度の超基本(下)

東洋経済オンライン / 2025年1月6日 18時0分

郷:「あ、やべ。フライングしちゃった」って気づいたんですね。

普通の領収書は認められなくなる?

小山:ただ、インボイス事業者にならないとクライアントから敬遠されそうな業種もあるんですね。具体的には飲食店や個人タクシー、プログラマー、デザイナー、動画編集者などです。

郷:え? 接待や移動って仕入れじゃないですよね?

小山:経費にかかる消費税も仕入税額控除の対象なんです。

郷:そうなんですか! でも、飲食店やタクシーが請求書なんていちいち出します?

小山:請求書だけではなく領収書やレシートなどでも十分なんです(※)。登録番号と税率・税額がちゃんと書かれていればインボイスとしてみなされます。最近は「インボイス対応領収書」「軽減税率対応領収書」みたいなものが売られていて、登録番号と税率・税額が書かれた領収書をもらえることが増えました。

※ほかに仕入明細書や納品書でもOK

で、いままでは経費とみなされる領収書であればどんなものでも消費税を控除できていたんです。それができなくなると、経理担当者や会社の上層部から現場に圧力がかかるのはありうる話ですよね。

「接待でこんな小さい店を使うな」とか、「免税事業者の可能性が高い個人タクシーはできるだけ使うな」とか。あるいは、積極的に経費を使って税金を抑えたいと思っている課税事業者のフリーランスも、「どうせ経費を使うならインボイス事業者のところで」と思うはずです。

郷:たしかに、年間で見るとけっこうな額になりそうですもんね。

小山:そうそう。経営の効率化を図るときは大きなところからメスを入れていくのが常套手段なので、直接的な仕入れにしろ、経費にしろ、影響が出はじめるなら額の大きいところから、と考えたほうがいいかもしれません。

郷:私が進んで課税事業者になることはないと思うんですけど、もし課税事業者になったら、どんな雑務が増えるんですか?

小山:免税事業者がインボイス事業者に登録する際、消費税の処理の仕方について次の3つから選べます。

(1)本則課税(一般課税)
(2)簡易課税
(3)2割特例

「本則課税」が経理事務的には圧倒的に大変で、売上と仕入れのあらゆる取引を詳細に記録し、「預かった消費税」と「仕入れや経費で払った消費税」を1円単位で計算して納付額を計算するものです。

専属の経理担当がいるか、税理士事務所に外注しないとまず無理ですね。無理というか、一人でやるなら本業に差し支えが出るので時間の無駄です。

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