プロ野球選手「億単位の年俸」でも貯金たまらぬ訳 金融リテラシーが低いアスリートを支える仕組み
東洋経済オンライン / 2025年1月9日 10時0分
名前を聞けば、野球ファンならだれでも顔が浮かぶような有名選手の話である。彼は強豪高校からドラフト上位に指名されてプロ野球チームに入団、若くしてレギュラーの座を獲得し、主力選手へと成長。FA権を取得した年限で、球団と複数年契約をしなおして、巨額の年俸を得た。
【写真】元フジテレビで現フリーアナウンサーの田中大貴氏の後輩である堀江智生氏
結婚をして伴侶ができたが、妻が選手の預金通帳を見ると、億の単位の年俸を得ていたはずが、数百万円しか残高がない。問い詰めると「仲間で焼き肉に行ったり、ギャンブルをしたりしてほとんど使ってしまった」と白状した。当然、「どうするのよ!」ということになる。
若くして年俸が上がった選手の金銭感覚
悄然とした選手からこの窮状を打ち明けられたのが、元フジテレビで現フリーアナウンサーの田中大貴氏。慶応義塾大時代は本塁打王も取った強打者で、アナウンサーになってからも多くのアスリートと交流がある。
そこで田中氏は慶応義塾大の後輩で、自身もアイスホッケー部の選手だった株式会社Japan Asset Managementの堀江智生代表取締役を紹介した。
「プロ野球では、年俸が高い選手ほど、ずっとそれが続くと思っている方が多いんですね。特に若くして年俸が上がった選手はこれからも年俸が上がり続けると思っているので、今あるお金がなくなることに対する不安感がすごく低いなと思います。これ、多分一般の同世代の方と全然感覚が違うと思いますね」
南海ホークスの大監督、鶴岡親分こと鶴岡一人は「ゼニはグラウンドに落ちてるんやで」と言ったが、その感覚がまだ続いているのか?
「本当にそうですね。その選手は奥様と一緒に相談に来られて、そこからは年俸の何割かは運用して積み立てていきましょう、という話になったりしました。奥様はすごく安心されたと思います。引退までに何億円かはたまる。それを今は年率4~5%でずっと運用しているので、最悪年収がなくなっても、その利回りがあれば、一生、生きていけるということですからね」
高卒でドラフト指名された選手が、契約金が入ったとたんにスポーツカーを買って、隣に女の子を乗せて、仲間の家に見せびらかしに来た、みたいな話は今でもちょくちょく聞く。
少し前まで高校生だった選手に、大人の金銭感覚を求めるのは無理な話なのだ。その点、社会人野球からプロ入りした選手は、しっかりしたプランを持っていることが多い。
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