精神疲労で固まりがちな身体をケアする方法 胸椎や胸骨を柔らかく保つと自律神経が整う
東洋経済オンライン / 2025年1月10日 7時10分
プレッシャーを感じる大事な試合で、身体が固くなって良いパフォーマンスを発揮できなかった、ということはよくあること。スポーツトレーナーで理学療法士の中野崇さんは、「過度なプレッシャーは精神的な疲労につながります。自律神経や精神面と密接に関係のある胸椎や胸骨を柔らかく保つトレーニングが有効です」と言います。実際にプロスポーツ選手たちを指導する中野さんに、メンタルからくる精神疲労のリカバリートレーニングについて解説してもらいます。
※本稿は『最強の回復能力 プロが実践するリカバリースキルの高め方』から一部抜粋・再構成したものです。
メンタルからくる「精神疲労」の実態
疲労には大きく分けて次の4種類があります。
①筋肉疲労 ②内臓疲労 ③脳疲労 ④精神疲労
今回は、4つめの精神疲労についてみていきましょう。脳の疲労とよく似ていますが、精神系の疲労もスポーツシーンで非常に起こりやすく、選手たちが直面する重要な課題の1つです。特にプロ選手にとっては重大な問題になり得ます。
原因①過度のプレッシャー
例を挙げてみましょう。プロ選手は試合ごと、あるいはシーズンごとに成績を評価され、それが年棒、つまり収入に反映されます。うまくいけば富と名声が得られる華やかな世界である一方で、ケガや成績不振が続けば仕事を失ってしまうのも現実です。
当然、試合ごとのプレッシャーはとてつもなく大きく、精神的な問題、もしくはそれに近い状態にある選手はたくさんいます。
さらにメディアやファンからの期待など、さまざまな要因が選手たちの精神的な負担を引き起こし、それが続いてしまうと精神系の疲労が蓄積されていきます。
プロ選手に限らず、スポーツに本格的に取り組んでいる人であれば、「次の試合に勝たなければ全国大会に進めない」「このタイムを切らなければ予選落ちしてしまう」などというプレッシャーがあるはずです。
このようなとき過度なプレッシャーがかかり、精神的な疲労につながります。
身体が固くなってバランスが崩れる
精神疲労の影響は心理面だけにとどまらず、身体や動きにも反映されていきます。
症状の一例を挙げると、まず胸椎(きょうつい=背骨の一部)が固くなります。交感神経の多くは胸椎から出ており、疲労があると神経の出口や自律神経節など、自律神経が関与する部位が固くなる傾向があるのです。それにより、背骨全体の動きだけでなく、肩甲骨の動きも低下するので、姿勢や動きのバランスが崩れます。
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