精神疲労で固まりがちな身体をケアする方法 胸椎や胸骨を柔らかく保つと自律神経が整う
東洋経済オンライン / 2025年1月10日 7時10分
原因③ホメオスタシスの低下
自律神経の中枢(コントロール役)は、脳幹の一部である間脳の視床下部という部位です。よって厳密には、脳疲労の一部だと言えます。ただし脳疲労と精神疲労は、症状は重なる部分は多いものの、原因が異なることが多いため、回復という観点では分けて扱うほうがいいと判断しています。
自律神経も含む話ですが、私たちの身体には疲労が生じても通常の状態になんとか戻そうとする作用があります。これを専門用語で「ホメオスタシス」と言います。
これは、さまざまな環境変化や心身へのストレスから身体を守るために重要な作用である一方、脳(特に脳幹)に大きな負荷をかけます。疲労自体が脳幹のハードな働きを要求し、さらに脳疲労を引き起こすためです。
脳幹が酷使され、疲労して働きが低下すると、ホメオスタシスが低下します。全身の疲労が回復しにくく、疲労が蓄積されていく状態に陥ります。
●症状 胸骨や胸椎、後頭部などが固まる
こうした精神疲労による悪循環の背景には、交感神経が働きっぱなしになっている状態があります。先ほど説明したように、交感神経が働きっぱなしの状態が続くと、胸骨や胸椎、後頭部、そしてお腹が固まるなど身体に症状が現れます。
問題は、これらの部位が一度固まってしまうと、スムーズに自律神経の切り替えができる状態に戻すのが大変なことです。そうならないように、ふだんから胸骨や胸椎、後頭部、そしてお腹を固まりにくくする必要があります。
また、固まったことをすぐ感知できるようにするなど、回復能力が高まる身体づくりが不可欠です。交感神経メインの状態を、副交感神経メインの状態へと切り替えられる身体になっていけば、回復能力は向上します。
自律神経の疲労で胸骨が固まる
胸椎と胸骨とお腹(へそ上)は自律神経と深い関係があります。胸椎は背骨の一部で、頸椎(けいつい)や腰椎、肋骨などと連結しています。胸椎が固まると、体幹を反らせたり捻ったりする動きが低下します。鎖骨や肩甲骨、腕の骨とも隣接しているため、上半身のさまざまな動きとの影響関係にある重要な部位です。
特に野球やテニスなど、腕を強烈に振る動きは体幹のしなやかさが非常に重要であるため、パフォーマンスに悪影響が出やすいと言えます。
胸骨は、胸の正面にあるネクタイのような形状の骨で、胸椎と肋骨の連結に含まれます。交感神経がはじまる部位にあたり、胸骨の奥には自律神経が集まっているため、自律神経が疲労すると胸骨もその影響を受けて固まります。
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