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セブン「高級路線で客離れ」に見る大苦戦の真因 消費者視点が薄れ、「上から目線」な企業に…?

東洋経済オンライン / 2025年1月10日 8時40分

この2つは高価格が成長の阻害要因となっているセブン-イレブンにおいて「値下げ」を意識した戦略で、今後の原動力として期待されている。

「エコだ値」「うれしい値!」は成功するのか?

では、この値下げ戦略は功を奏するだろうか。

実際、食品新聞の取材に対してセブン-イレブン・ジャパン社長の永松文彦氏は「20代男性と女性の新規顧客が増えている」と述べている。

実際、国内のセブン-イレブンの前月比の売上高は、2024年10月が100.4%、11月が100.3%でわずかに上昇。前月比の客数も2024年10月が100.1%、11月が100.5%と微増している。

「うれしい値!」は9月より本格始動しているので、その効果が早くも表れたのだろうか。

ただ、気になる点もある。というのは、前月比で見たときの客単価は2024年10月が100.3%に対し、11月が99.8%と減少しているのだ。

まだ2カ月分のデータだから断定するには早いが、増えた客は「うれしい値!」商品を中心に、低価格商品のみを購入している可能性が高い。

必然的に「うれしい値!」商品は利幅が少ないことが予想されるから、利益ベースで見れば、本当の意味でこの政策が功を奏しているのかは、まだ判断ができない。

さらに社長が述べる「新規顧客が増えている」というのも、解釈が難しい。というのも、セブン-イレブンのような全国チェーンのコンビニは、多くの人が一度くらいは何気なく利用したことがあるもので、新規顧客が本当の意味での「新規」なのかどうかはわからないからだ。

例えば「週3回以上訪れる顧客が増えた」というように、その定義を明確にしなければ、その効能を真に計ることは難しい(まあ、セブン側では精緻なリサーチをしていて、取材にはざっくり話している、というだけの話なのかもしれないが)。

さらに、客数の増加と客単価の減少という「薄利多売」モデルは、人口減少が続く日本で長期的に見て有効なのかどうか、という点も気に掛かる。

さらに指摘しておくべきは、「うれしい値!」に先駆けてはじまった「エコだ値」の効果が、業績を大きく回復させるほどの貢献はしていない、ということだ。

既存店売り上げで見れば、同取り組みがはじまった2024年5月以降、セブン-イレブンの売上高はわずかに減少傾向が続いていた。

その理由を1つに断定することはできないが、私はこの取り組みについて、「消費者目線」から見た違和感を抱いてしまう。というのも、「エコだ値」は、ネーミング的にセブン-イレブンが思う「エコ」を私たち消費者に押し付けている感じが否めないからだ。

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