マッチングアプリで日本の結婚が増えぬ本質理由 上位3割の恋愛強者に便利なツールを提供しただけ
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 9時5分
婚姻減の要因としてあげられるものに「出会いがない」というものがあります。2024年7月にこども家庭庁が行った「若者のライフデザインや出会いに関する意識調査」においても、25~34歳における結婚のハードルとして「出会いがない」は未婚女性ではトップ、未婚男性では「経済力がない」に続く2番目に位置します。
では、「出会いさえあれば結婚できるか」と言えば、必ずしもそうはなりません。
アプリ婚の比率が増える背景事情
メディアでは、「若者のアプリ婚が増えている」などと報道されることがあります。明治安田生命が公表している2024年「いい夫婦の日に関するアンケート調査」によれば、直近1年間で結婚した夫婦の出会いのきっかけでは、マッチングアプリが1位でその構成比は29.8%にもなります。3組に1組がアプリ婚ということです。
確かに、この構成比だけを見れば「昨今の結婚はアプリ婚が主流」と言いたくもなるのかもしれません。しかし、見落としてはいけないのは、このアプリ婚の比率がこれだけ増えているのは、全体の婚姻数が激減しているからにすぎないという点です。
同調査では、1年以内の結婚だけではなく、25年以上前に結婚した夫婦まで含めて長期的な「出会いのきっかけ」推移を公表していますので、それらの構成比と人口動態調査から各対応年の平均婚姻数実数とを掛け合わせて、長期的な「出会いのきっかけ別年間あたり婚姻数」のグラフを独自に作成しました。なお、25年以上はそれ以前の10年分の平均としています。
構成比と実数とを見比べてみればその違いが明確になるでしょう。
アプリ婚は確かに構成比も実数も増えています。結婚25年以上の夫婦(1989~1998年までに結婚した夫婦)と直近1年に結婚した夫婦(2023年結婚)とを比べれば、年間あたり13.8万組増えている計算です。
しかし、一方で、「友人の紹介」きっかけの結婚は同期間で14.2万組も減っており、いわば、「友人紹介」結婚が減った分が「アプリ婚」に流れただけとも推測できます。同様に、かつての婚姻を牽引してきた「見合い」は9.4万組減少、「職場」に至っては22.1万組の激減です。同期間の全体の婚姻数の減少は、29.1万組ですから、その減少分のすべては「見合い」と「職場」の減少によるものとわかります。
ちなみに、「学校」きっかけの結婚は長い間減りもせず、ほぼ変わらず推移していることにも注目です。
「アプリで全体の婚姻数を底上げ」になっていない
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