マッチングアプリで日本の結婚が増えぬ本質理由 上位3割の恋愛強者に便利なツールを提供しただけ
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 9時5分
利用しても誰とも出会えないならばそれは利用する意味を失い、離れていくことになります。事実、サイバーエージェント子会社のタップルによる日本国内の婚活・恋活マッチングサービス(婚活アプリ)の市場規模推移は、右肩上がりだった2021年予測に対して2023年予測では停滞基調に変わっています。これは日本だけではなく、アメリカでも同様です。
アプリは、当初「出会いがない」と嘆く人たちの課題解決ツールとして幅広い選択肢を提示してくれる期待感があったものですが、一回りして皆が気付いたのは「選択肢が多いことは必ずしも全員をしあわせにしない」ということではないでしょうか。
アプリ婚の増加のあおりで減少した「友人紹介」
もうひとつ、アプリ婚が増えたあおりで減少した「友人紹介」もバタフライエフェクトのように出会いの機会減少につながります。
友人の紹介で将来結婚する人と出会った場合でも、それは結果論であり、お見合いのように最初から1対1で会うということは滅多になく、友人も含めた複数人数での飲み会やパーティーなどが始まりだったでしょう。アプリがなかった時代は、この出会いが恋愛強者にとって重要で、だからこそ積極的に互いに紹介し合うという形が生まれました。その際に、会のメンバーとして誘われる側に7割の恋愛弱者も含まれていて、何気にそうした場で偶然の出会いが生まれることもありました。
恋愛強者は自分のために会を設定しているにもかかわらず、期せずして誰かのアシストを果たした場合もあるわけです。しかし、アプリが登場し、自宅のソファからポチポチとアプリを操作すれば、次々と恋愛相手と出会えるようになると、わざわざリアルな会を催す必要もなくなります。アプリがあることで、恋愛強者の行動力によるおこぼれ波及効果が失われることになります。
残念ながら、マッチングアプリは婚姻増の救世主にはなりえないばかりか、むしろさらなる婚姻減への副作用を起こすことにもなりそうです。
手のひらで使える便利なデジタルツールであるがゆえに、冷徹なまでに能力が可視化され、個人力によって恋愛可否が決まる世界線が生まれました。要するに、恋愛や結婚の個人戦化、自己責任化と言えます。
本来、結婚というものは1対1で執り行うものでありながら、両者を取り巻く共同体メンバーや社会含めて相互に関係しあうものであったはずです。そうしたしがらみが鬱陶しい場合も当然ありますが、だからこそ自分だけの力ではどうにもならないことも実現できたわけです。
問題は「出会いがない」ことではない
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