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マッチングアプリで日本の結婚が増えぬ本質理由 上位3割の恋愛強者に便利なツールを提供しただけ

東洋経済オンライン / 2025年1月11日 9時5分

見合いが衰退した背景には地域共同体の崩壊があり、職場結婚が減った背景にも、疑似家族だった職場共同体の機能変化があります。伝統的な見合いが復活することもないですが、せめて職場での出会いや結婚というものに対して、過度に「個人の問題だから」「セクハラ扱いされるリスクがあるから」と腫れ物に触るようなことではなく、もう少し柔軟に結婚したい社員を応援したり、言祝ぐ方向に多少戻ってもいいのではないかと思います。

結婚した後の社員を支える施策は充実していますが、これから結婚するだろう独身に対する温かい目も必要です。「誰の力も頼らずに自分の力だけでなんとかする社会」というのは、決して自立社会ではなく、それこそが孤立社会なのでしょう。

とはいえ、このマッチングアプリという仕組みそのものを否定しているわけではありません。自治体における婚活支援では、AIマッチングアプリでの出会い創出だけではなく、出会った後の有人によるサポートなどハイブリッド型の伴走型支援を実践しているところもあり、それはそれで「令和なりのお膳立て」のひとつとして評価できると思います。

しかし、実は問題なのは、「出会いがない」ことではなく、90年代後半の就職氷河期から始まった、「若者よ、自分の力でなんとかしろ」という風潮であり、「社会や人とのつながりがない」ということの表れではないかとも思うのです。

荒川 和久:独身研究家、コラムニスト

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