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マッチングアプリで日本の結婚が増えぬ本質理由 上位3割の恋愛強者に便利なツールを提供しただけ

東洋経済オンライン / 2025年1月11日 9時5分

ところで、グラフ上で暖色系にしているものは自力婚、寒色系はお膳立て婚と分類しています。自力婚に分類されるのは、「アプリ」以外に「友人の紹介」「ナンパ」「合コン」「趣味のサークル」「婚活パーティー」などで、出会いのきっかけは違えど、その後恋愛から結婚まで進展するためには自力の恋愛力が必要とされるものです。

一方、お膳立て婚とは、「職場」「見合い」のほか「学校」「結婚相談所」など特定の所属コミュニティや仲人などの第三者の介在や周囲の後押しのあるものを指します。当然、職場結婚でも自力が不要なわけではないですが、簡易的にこのように分類しています。

この自力婚とお膳立て婚をまとめて結婚1年目と25年以上の夫婦を比較すると、これだけ全体の婚姻数が激減しているのに、自力婚の絶対数はほぼ減っていないことがわかります。婚姻減少とは、「お膳立て婚」の減少に尽きるのであり、自力でなんとかなる自力婚の数は、そのきっかけは違っても皆婚時代と変わっていないということです。

つまり、アプリ婚の構成比が増えていたとしても、それは元々アプリがあろうがなかろうが結婚できる人のきっかけの内訳が変わっただけであり、全体の婚姻数を底上げすることにはならないのです。アプリ婚が増えているのは、「出会いがない」という課題に応えた結果ではなく、アプリがなくても出会いを自力で作れる上位3割の恋愛強者に対して、便利なツールを提供したにすぎません。

男性でアプリの恩恵があるのは恋愛強者や経済強者

より酷な話をすれば、リアルな世界で出会いがない人がアプリならば出会えるかというとそうではなく、リアルで出会える人だけがアプリ利用でより多く出会えるようになるだけなのです。私が、「マッチングアプリは街のナンパのデジタル版でしかない」というのはそういうことです。

特に男性の場合、アプリの恩恵があるのは恋愛強者または経済強者のみです。なぜならば、プロフィールの写真や年収で最初に選別されてしまうからです。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる2021年「マッチングアプリの動向整理」によれば、「マッチングアプリで実際にデートした人数ゼロ」という割合が、20代24.3%、30代20.4%、40代にいたっては31.7%にも達しています。マッチングサービスなのに誰ともマッチングされない問題というものがあります。

加えて、同調査では「マッチングアプリの全体的な満足度」で「非常に満足」「満足」と回答した男性の割合は34.9%。常々、私が言っている「恋愛強者3割の法則」通り、恋愛強者の3割しか満足していないツールであるとも言えます。

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