日本プロ野球とMLBで広がる「経済格差」の残酷 メジャーリーガーになれば悠々自適ではない
東洋経済オンライン / 2025年1月12日 9時0分
日本社会全体のレベルで言っても、昨年最大の話題は「大谷翔平」だった。ウクライナや中東の戦争や、アメリカの大統領選など、世界は大揺れに揺れているし、国内でも首相が交代するなど、大変な年ではあったが、人々はそれだけに「手放しで喜ぶことができる」話題に飛びついたと言ってもいいだろう。新年早々には「おめでた」の話題まで振りまいた。
【画像でわかる】大谷翔平やダルビッシュの年俸とイチローや松井秀喜の年俸はどれほど違うのか
野茂英雄がMLBに挑戦してから今年で30年、今や日本出身のメジャーリーガーは、70人を超えている。
日本出身のメジャーリーガーの立ち位置
ほんの短期間の在籍に終わった選手を除いて、彼らの多くは引退後もMLBと何らかの関わりを持っている。MLBに行かなかった多くの元プロ野球選手とは異なり、NPB球団や日本球界と関わりを持っていない人も多い。
そもそも、元メジャーリーガーの中には定まった仕事に就いていないのではないかと思われる人もいる。
今年、日米での野球殿堂入りが確実視されるイチローは「シアトル・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター」という肩書こそ持っているが、ユニフォームを着て選手につきっきりになって指導をしているようには見えない。
またすでに日本野球殿堂入りをしている松井秀喜もニューヨーク・ヤンキースで「GM特別アドバイザー」となっているが、彼も同様だ。にわかに「読売巨人軍監督就任待望論」が出てきているようだが、彼がそれを受諾するかは微妙だろう。
上原浩治、松坂大輔など日米で活躍した元選手も、ゲスト解説で登場することはあるが、日本球界の何らかの役職を持っているわけではない。そして、ここで名前を出した4人はすべて、アメリカに居を構え、家族もアメリカで生活している。
端的に言えば「雲の上=アメリカ」からときおり「下界=日本」に降りてきているように見える。
日本とアメリカで得られる報酬の差
なぜそうなるのか? 一番大きいのは、手にした「報酬」の大きさだろう。
イチロー、松井秀喜、上原浩治、松坂大輔が日米で手にした報酬の総額。
アメリカの報酬は日米の為替レートが日々刻々と変わるが1ドル120円で計算する(日本の年俸は契約金除く)。日本の報酬は推定、MLBは記録サイトBaseball Referenceによる。
NPBの年俸にはMLBからNPBに復帰後の年俸も含む。
イチロー
日本(7年) 19.1億円
アメリカ(19年) 1億6718万ドル(200.7億円)
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