日本プロ野球とMLBで広がる「経済格差」の残酷 メジャーリーガーになれば悠々自適ではない
東洋経済オンライン / 2025年1月12日 9時0分
松井秀喜
日本(10年) 22.9億円
アメリカ(10年) 8325万ドル(99.9億円)
松坂大輔
日本(15年) 25.6億円
アメリカ(8年) 5316.7万ドル(63.8億円)
上原浩治
日本(12年) 24.2億円
アメリカ(9年) 5025万ドル(60.3億円)
この時代、トップクラスのNPB選手は10年内外で20億円前後を稼いでからMLBに移籍した。しかしMLBに行って成功すれば、それよりも少し短い期間で50億円以上の報酬を手にすることができた。
イチローは2007年、シアトル・マリナーズと5年9000万ドル(当時のレートで約99億円)の大型契約を結んだが、そのうち2500万ドル分は、5.5%の利子をつけて引退の翌年から毎年、支払われた。それも含めてイチローの引退後の報酬は年2億円を下らないとされる。これが59歳まで保障される。
さらに、MLBには「終身年金制度」がある。10年以上MLBでプレーした選手には62歳から年2000万円程度が支払われる。イチローと松井は満額、松坂、上原もプレーした年数に応じた額が支払われる。
MLBで活躍した日本人選手の多くは、高額の報酬を資産運用に回している。前回記事「プロ野球選手『億単位の年俸』でも貯金たまらぬ訳」でも紹介したようにプライベートバンカーがいるケースも多い。
日本では、報酬を無計画に浪費し、引退後、生活に困窮するプロ野球選手が少なからずいる。MLBでも同様のケースが散見されるが、今では日米ともに主力級の選手には、球団とは別個のエージェントがついている。彼らが契約交渉から資産運用まで相談に乗るので、多くの選手は、引退後、悠々自適の生活が保障されている。
NPBからMLBに移籍して、そこそこ活躍した選手が、引退後に「富裕層」的な境遇を手にすることができるのは、せんじ詰めれば日米の「経済格差」があるからだ。
イチローなどの「平成時代」から状況が変化
昨今、日米の経済格差はさらに広がりつつある。現役の日本人メジャーリーガーが得ている報酬を見るとイチローなど「平成時代」とは状況が変わってきていることがわかる。
日本で得た年俸総額と、MLBで2024年までに得た年俸総額、さらに来年以降受け取ることが確定している年俸総額。こちらは1ドル158円で換算した金額をつける。
ダルビッシュ有
日本(8年) 14.2億円
アメリカ
・2012~24年まで 2億500万ドル(323.9億円)
・2025~28年まで 6700万ドル(105.9億円)
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