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日本プロ野球とMLBで広がる「経済格差」の残酷 メジャーリーガーになれば悠々自適ではない

東洋経済オンライン / 2025年1月12日 9時0分

これに対し、MLB選手の年俸は、イチローの時代はトップクラスで10億円前後だったが、今はレギュラークラスで20億~30億円になっている。FA年限になって年俸調停権を得るまでの若手選手は1億円前後だが、そこから年俸が一挙に上がるのだ。

NPBから来てメジャー契約する選手はほとんどが「FA選手」扱いだから、その多くが巨額の複数年契約を結ぶのだ。

NPBとMLBの経済格差が大きくなった

大谷翔平がドジャースと結んだ10年総額1000億円余は別格としても、今、MLBに在籍している選手のうち、松井裕樹を除く選手が総額で100億円以上の報酬を手にしている。

松井は救援投手だが、MLBではこのポジションの選手の年俸は非常に低い。しかしその松井でも日本時代の数倍の年俸を手にしている。

イチローの時代、NPBとMLBの経済格差は2~3倍程度だったが、今ではざっと10倍に広がっている。

ざっくり言えば、今のNPBのレギュラークラスの選手は、MLBとメジャー契約を結べば、少なくともこれまでの年俸総額に近い契約を勝ち取ることができる。

MLBへの挑戦はリスクが高いが、失敗しても金銭面では、日本にいては生涯手にすることができないような報酬を得ることができる。もちろん、野球選手になったからには世界最高峰のレベルで、と思うのは当然だが、そういう経済的メリットもあって、NPBのスター選手は次々にメジャー挑戦を口にするのではないかと思われる。

ただ、昨年からそうした風潮に冷や水を浴びせるような契約も散見された。

上沢直之
 日本 (12年)8.8億円
 アメリカ
 2024年 74万ドル(1.17億円)

上沢はNPB時代最終年には日本ハムで1.7億円を得ていたが、MLBのレイズ移籍に際してはマイナー契約となった。その際のオプトアウト(契約破棄)条項を活かしてレッドソックスに移籍し、メジャー昇格を果たしたが、年俸はNPB時代より低かった。そして登板は2試合だけで、あとはマイナー暮らしとなり、オフにNPBに復帰。古巣日本ハムではなくソフトバンクと年2.5億円の複数年契約をした。

2023年の上沢はDeNAの今永昇太よりも長いイニングを投げ、勝ち星も上だったが、MLBでの評価は天と地ほども違った。

これは、MLB側が奪三振率が低く「打たせて取る」タイプの上沢はメジャーでは通用しないと判断したためだろう。同じタイプの有原航平が通用しなかったことで、こうした判断になったのだ。そして事実、MLBでもマイナーでも活躍できなかった。

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