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公務員を辞めて「ドラマの料理」を作る彼女の人生 「ゴールデンカムイ」や「ふてほど」など多数担当

東洋経済オンライン / 2025年1月14日 8時0分

きっかけは当時の夫の言葉だった。「頑張りたいのはわかるけど、生活の限界を超えている。あなたの人生に関わっている人はたくさんいるんだよ」と告げられて、自身の生活を見直した。

「やりたいことを続けるか家族の時間を取るかすごく悩みました。ただ、当時の夫の言葉がすごく重くて。とりあえず家庭に入りました」

アシスタントを辞めたはらさんは、イタリアンのカフェでアルバイトをしながら主婦生活を送る。

フードコーディネーターへの道が開けた

フードコーディネーターへの道は絶たれたかと思われたが、半年ほど経ったある日、急に道が開ける。アシスタント時代に知り合った美術スタッフから「仕事を頼みたい」という連絡があり、とんとん拍子に仕事を受注した。

「赤堀先生のアシスタントは辞めたと事情を伝えたのですが……。『単発の仕事だし、これまでと同じようにやってくれればいいよ』と言われたんです。それで仕事を請け負いました」

当日、師匠のいない現場に不安を覚えながらも、家庭の食卓に並ぶ料理を作り、撮影は完了。テレビで自分のクレジットを見た時に「ああ、私でもいいんだ……!」と喜びを感じた。

1つの現場に呼ばれるたびに「また仕事をください」と現場のスタッフにお願いをすると、徐々に声をかけられる機会が増える。フリーランスを始めた半年後にはアルバイトを辞め、さらに1年が経った35歳で株式会社Vitaを設立した。

そして、夫とは数年にわたる協議の末に離婚。さらにフードコーディネーターの仕事に没頭した。

コロナ禍を経て仕事が急増

はらさんの仕事は、コロナ禍を経て一気に増えた。感染防止の観点から食の現場管理をフードコーディネーターに任せるようになったためだ。料理の提供だけでなく、料理に関する安全を確保する役割が求められるようになった。

コロナ前と比較してドラマの仕事量は2倍以上に増加。2024年は24本のドラマと3本の映画に携わっている。

最近では作品の世界観に合った料理を求められることも多いという。たしかに、はらさんが携わったドラマや映画の中には印象的なグルメシーンが含まれる作品もある。

現代と昭和を行き来するドラマ「不適切にもほどがある!」では、昭和の世界を表現する1つの象徴として喫茶店のナポリタンが使用されていた。明治時代末期の北海道を舞台にした映画『ゴールデンカムイ』では原作でも評判の高いアイヌ料理がシズル感を伴い再現されている。

ここまで仕事のオファーが舞い込む理由はどこにあるのだろうか。尋ねてみると「どうなんでしょう……」と考えながら言葉を続けた。

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