「バーチャル世界」で希望格差を埋める若者たち 「努力が報われない仕事」が早々に見切られる訳
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 12時0分
著者がベストセラーとなった『希望格差社会』を刊行した2004年以降、あらゆる指標で日本経済は凋落した。にもかかわらず、若者の生活満足度は上昇している。その背景には何があるのか。
近著『希望格差社会、それから』を上梓した山田昌弘氏が、格差や若者の行動を分析・検証し現代日本社会の実像に迫る。
「夢見るフリーター」の出現
戦後から1990年くらいまで、つまり昭和時代までは、ほとんどの男性にとっては「仕事」に希望が持てた時代であった。望めば正規雇用者として就労でき、努力すれば、年功序列システムの中で収入はアップし、管理職に昇進していった。
つまり、努力が目に見える形で評価されたのである(もちろん、その裏には、女性差別的慣行があったのだが)。その結果、収入が増え、豊かな家族生活を送ることが可能な収入を得たのである。
女性の場合は、1985年に雇用機会均等法ができるまでは、キャリアが築けるような希望の持てる職業に就くことは一般的でなかった。就けたとしても、教員や資格が伴った専門職など一部の職に限られていた。多くの女性にとって仕事とは、結婚までの腰掛けとしての一般職やパート職であって、努力してもそれに見合った評価が受け取れるケースは少なかった。
しかし、「家事・育児」を仕事と見立てれば、夫や子どものケアをしていれば、夫は出世し、子どもが学歴をつけるという形で、それを成果として感じていた人も多かったと思われる。
家事・育児を頑張っていれば、その成果として夫の収入が上がり、豊かな生活を享受でき、子どもの学歴を自分の努力の結果と信じることが容易だった。そういう意味で、家事・育児に仕事としての希望を持つ人も多かったと思われる。
しかし、1990年代以降、すべての男性が正規雇用で、将来に希望が持てる職業に就けるわけではなくなった。仕事で努力し、それが報われることが感じられない職に就かざるを得ない人が増大する。また、正規雇用者であっても、ブラック企業の社員や業績の上がらない中小企業従業員などは、努力に見合った評価や収入が得られるとは思われない状況が広がる。
そのような中、平成時代に出現したのが、「夢見るフリーター」という存在である。「フリーター」という言葉は、バブル経済まっさかりの1990年頃、株式会社リクルートによって広められた言葉である。フリーという英語と、アルバイトというドイツ語を組み合わせた和製外国語である。
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