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「デジタル投資→PBR1倍超」期待する人の深刻盲点 「企業の解散価値>株式価値」をどう改善する?

東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時50分

ちなみにこの間、アップル社の株価は約3倍ですから、ドミノ・ピザの上昇ぶりは際立っているといえます。

セールストークでは「(ノンテックカンパニーであっても)アプリによる使い勝手の向上、システムのクラウド環境への移行など、積極的なデジタル投資により、著名なテックカンパニーをしのぐ株価上昇を実現しました(よって御社も積極的なデジタル投資を云々)」と続きました。

デジタル投資がドミノ・ピザ社の株価上昇に寄与したのは確かでしょうが、同時に「フードの改善」「自社配送網の構築によるコスト競争力の獲得」「積極的な自社株買い」といった打ち手も寄与していたはずです。

「デジタル投資により、(たぶん)成長が加速されますので、それを受けて株価も(たぶん)上がります」というロジックには無理があるのではないでしょうか。

PBR改善に「デジタルの出番」はあるのか?

企業として業績を上げ、そして成長のプランや萌芽をきちんと見せるといった株価への評価を上げるための不断の努力は必要ですが、「株価はマーケットが決めるものだから、企業は介入できない」「こうすれば株価は確実に上がるというセオリーはない」のも事実です。

となりますと、PBRを改善するためには、(自社で手を打つことができる)「分母(純資産)を小さくしよう」という話になります(前述のようにPBR=(株価の)時価総額÷純資産で計算されます)。

そのための打ち手としては、「株主還元の増大(配当や自社株買いの強化)」「負債の活用(社債や借入による資金調達)」が定番であり、ここにデジタル(投資)の出番はありません。

出番がなくても問題はないのですが、PBR改善のための打ち手が財務的なものだけかというと、そういうわけではありません。 

別の側面から考えてみましょう。PBRはPERとROEに分解されます。

PERでは(PBRと同様に)株価が分子にありますので、ここはROEを対象として考えますと、次のように分解できます。

つまりPBR改善の打ち手を考える要素は、「①純利益」「②売上」「③総資産」「④純資産」の4つであることがわかります。

これらの数値の改善には、デジタル投資の出番もありそうです。

4つの数値をそれぞれ改善するには?

まず「①純利益」についてはコスト削減が打ち手となりますが、「不採算事業や商品・サービスからの撤退」が優先度の高い打ち手になってきます。

もちろん、「デジタルを活用した業務効率化によるコスト削減」も打ち手の候補になってきますが、以前の記事『100億かけても「DXの効果が全然出ない」3つの訳』でも述べたように「みかけの」コスト削減では意味がありません。ボトムラインに確実に効くものであることが必要です。

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