西野七瀬が念願の「ショートカット」と"新境地" 「大切な人を失った恋人の幻影」という難役
東洋経済オンライン / 2025年1月16日 17時0分
30歳を迎えた今、その考えにどのような変化があったのかを尋ねると、少し穏やかな笑みを浮かべながらこう答えた。
「そうですね、しばらくはその考えでやってきました。楽な道を選ぶ意味はないと思っていましたし、そのほうが面白いとも思っていました。ただ、今は少し変わってきたかもしれません」
挑戦への意欲は変わらないが、その中で楽しさや学びに目を向けるようになったという。
「やっぱり挑戦できることは楽しいですし、やったことのないことに挑むほうが刺激がありますよね。例えば、新しい役柄を演じると、その役の職業について深く知ることができて、それがまた学びになります」
未知の世界に触れることで得られる発見。それが彼女にとって、今もなお仕事の原動力となっている。
「そういう未知の経験ができるのは、この仕事の魅力の1つだと思っています。新しいことに挑む楽しさは、やっぱり好きですね」
悲しみと向き合う物語「君の忘れ方」
西野七瀬がヒロインを演じる映画『君の忘れ方』が、1月17日に公開される。
この映画が描くのは、「グリーフケア」、すなわち大切な人を失った悲しみとどう向き合い、乗り越えるかというテーマだ。
「海外ではセラピーやカウンセリングが当たり前にあるようですが、日本ではグリーフケアの存在がまだまだ知られていません」と語る彼女自身、この言葉を初めて知り、喪失と癒しの過程について考える機会になったという。
物語は、結婚を目前に控えた幸せの絶頂から一転、突然の別れを経験した27歳の構成作家・森下昴(坂東龍汰)を中心に展開する。彼の前に現れるのは、亡くなった恋人・柏原美紀(西野七瀬)の“幻影”。その不確かな存在との日々が、昴の心を静かに揺さぶりながら、やがて癒しと再生への道に導いていく。
西野が演じる美紀は、「会いたくても会えない」という切なさと、物語全体の「希望」を象徴するキャラクターとして描かれる。彼女の繊細な表現が、物語の核心に静かで深い力を与えている。
監督はこの役柄に「儚さ」と「透明感」が欠かせないと感じ、手紙を送って出演を熱望したという。
「自分で意識して出せるものではないので、そう評価していただけたことが光栄でした」とそのオファーを振り返る。
幻影という難役への挑戦
“幻影”という難役に挑むうえで、西野が最も心がけたのは「感情を表に出さないこと」だった。瞬きを極力減らし、歩き方の1つひとつにも細心の注意を払う。彼女が目指したのは、「生命力を感じさせすぎない」という存在そのものだった。
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