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あんなに愛された街が…「立石再開発」微妙な現状 怒涛の再開発計画掲げる葛飾区に住民が疑問

東洋経済オンライン / 2025年1月16日 9時20分

壁に描かれたかつての立石の風景。一部残されているものもあるものの、多くは消えてしまった(写真:筆者撮影)

駅の南北の3カ所、計3棟のタワーマンションを含む再開発計画が発表された葛飾区京成立石。「のんべえの聖地消失」と嘆く声をよそに北口ではすでに建物取り壊しなどの工事が進められており、完成予定は2028年とされていた。一方で、住民が区長に損害賠償を請求する訴訟が起こるなど、前途多難な状況となっている。

【写真】かつて賑わっていた商店街もシャッターが目立つように

建設費が大幅に高騰してしまった

再開発事業では、駅北口に地上36階地下2階の西棟と、地上13階地下3階の東棟を建てる計画。東棟の1、2階には商業施設などが入るほか、3~13階に葛飾区の新庁舎が拠点を構える予定となっている。

こうした中、昨年4月に葛飾区民238人が、区が東棟の床を不当に高く取得するのは、区の財政を損ねるとして東京地裁に訴えを起こした。

背景にあるのは、建設費(*)の高騰だ。立石駅北口の再開発事業の支出額は、2022年12月時点で約933億円だったのが、2024年4月に約1186億円と約253億円アップしていた。

大きく上がったのは、東棟の建設費約130億円(2022年12月時点約246億円→2024年4月時点約376億円。以下同)、西棟の建設費約112億円(約326億円→約438億円)、それに除却費が約29億円(約19億円→約49億円)。除却費は既存建物を解体してみたところ、アスベストを使用した建物が地域内建築物の9割ほどをも占めていたことで膨らんだ。

アスベストの存在はまた、工事期間を1年5カ月ほど延ばすことになり、完成は少なくとも1年延び、2030年度末となる見込み。その間に建設費も上がるはずで、昨年10月の区議会配布資料における試算額は約483億円と、東棟だけで100億円以上増えることになっている。

【写真】「のんべえの聖地」と言われた立石。今も行例ができている店はあるが、かつてのような賑わいはない(20枚)

しかも、2024年時点の建設費では民間に分譲される西棟より、区役所が入る東棟のほうが、上昇分が大きい見立てとなっている。

「2022年の時点で屋上にヘリポートを作る予定となっており、当然、区が発表した建設費にも含まれているものと思っていましたが、2024年の資金計画で初めて計上されたとのこと。

さらに、区庁舎が入る東棟のほうが、床単価が高いのは内装費が含まれているから、というのが区の説明ですが、内装の費用が含まれていることで区が受け取る床の面積が狭くなるなら内装は不要ではないかと思います」と長らく再開発に厳しい目を向けて来た葛飾区民の塔嶌麦太さんは話す。

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