脱炭素が空文化、エネルギー基本計画は課題山積 再エネ低迷、原発と火力の継続が最大の特徴
東洋経済オンライン / 2025年1月17日 8時0分
2024年12月に示されたエネルギー基本計画の案は、これからの日本の脱炭素化にブレーキをかけかねない内容となっている。どこに問題があるのか。民間のシンクタンクを組織し、エネルギー・環境問題に取り組んでいる筆者が政策のあり方について検証した。
2025年は、日本の気候変動政策とエネルギー政策の方針を決める重要な年である。2024年春から気候変動政策およびエネルギー政策のそれぞれについて検討が始められ、いずれについても2024年末に政府から案が提示された。相互に関係する「GX2040ビジョン」「地球温暖化対策計画」「エネルギー基本計画(第7次)」の3つである。2025年1月26日までの短い期間でのパブリックコメント(意見募集)を経て、政府は同2月にもこれらのビジョンや計画を決定する予定である。
これらは、今後の日本経済および国民生活に対して大きな影響をもたらし、気候変動の危機に対する日本の対応方針を決める重要なものである。しかしその内容や決め方についてはさまざまな課題があると考える。 本稿では、エネルギー基本計画案を中心に、内容を読み解きたい。
エネルギー基本計画案のポイント
第7次エネルギー基本計画案は、現行の2030年度目標からさらに10年先の2040年度のエネルギー政策の方針を定めるものである。日本の二酸化炭素(CO2)の排出の9割はエネルギー起源であることから、2050年にカーボンニュートラルを実現する道筋を描くものでもある。
エネルギー政策は、日常生活や企業活動で必要とする電力や熱、運輸や製品製造など幅広く利用されるエネルギーについて、需要と供給の両面から幅広く検討する必要がある。今回の関心はもっぱら電力供給に置かれ、バランスを欠いていたことを指摘しつつ、以下、特徴を見ていく。
一番の特徴は、今後の原子力と火力の継続利用の方針を出したことだろう。データセンターなどの増加で電力需要が増えることを理由に、供給力強化に必要だとされた。太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)も増やす方向だが、さまざまな制約要件やコストが高くなるといった試算に基づき、伸びについては小さくとどめられた。
その結果、2040年度の電源構成は、再エネ4〜5割、原子力2割、火力3〜4割となっている。再エネは主力電源となりそうだが、伸び率が低位水準にとどまれば、2030年度から2040年度の間、4割程度のまま増えないことになる。
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