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停戦に向けてウクライナに残された3つのシナリオ トランプ新大統領は早期停戦をまとめられるか

東洋経済オンライン / 2025年1月17日 8時0分

2025年1月20日、再びトランプ氏がホワイトハウスに舞い戻ってくる。彼は公約の中にあったウクライナ戦争の早期停戦を実現させられるか(写真・2024 Bloomberg Finance LP)

いよいよ2025年が始まり、1月20日にアメリカはトランプ政権へ移行する。トランプ新大統領は、3年続くウクライナ戦争をロシアのプーチン大統領と停戦させるつもりである。

トランプ政権は前回の政権のときと同様、「アメリカ・ファースト」を打ち出している。その目玉の1つがこの停戦である。

ロシア「新型爆弾」の衝撃

このアメリカ第一主義がどこまで功を奏するかは、ウクライナ戦争を停戦できるかどうかで試されるといえる。しかし、アメリカおよび西欧は、これまでとちがって世界平和を命令する立場にはない。自国の利益を守るだけで精一杯といえる。

ロシアへの制裁や外国への関税の負荷は、自国経済に不利に働くことはあっても、けっして停戦に有利に働くものでないことは、すでに証明されている。圧力を受けるロシアは、むしろますます勢いを得ているようにも見える。

30兆円を超すNATO(北大西洋条約機構)諸国の支援にもかかわらず、当初見えていたウクライナの勝利は感じられない。むしろ敗北の色濃厚とさえ言える。停戦ではなく、敗戦という言葉もちらほら見受けられる。

とりわけ2024年11月の世界戦争勃発の危機を変えたのが、ロシアの新兵器「オレシュニク」だった。極超音速中距離弾道ミサイルとされるオレシュニクは、ウクライナ・ドニプロの工場に落下したが、この新型爆弾は1945年の原爆のときと同様、世界に波紋を呼んだ。

それは、この爆弾がいったい何であるかということがわからなかったからだ。大陸間弾道弾とみられたが、その速度、その威力において、まったく理解不能の爆弾だったのである。

知らないということは「作れない」ということであり、それゆえ知らない爆弾を持つ国との戦いは恐怖そのものであるといってよい。

NATOの軍事介入による世界戦争という考えは、この爆弾の威力の前で色あせてしまった。アメリカ軍も含め、この新型爆弾になすすべがなかった。平和交渉を進めるしかなくなったのである。

また、冬将軍到来の中で天然ガスの問題が、とくに東欧諸国で問題になり始めたことも、平和交渉を促進させることになった。

冬将軍の到来が平和交渉を促す

ウクライナには、ロシアから東欧諸国に流れるガスパイプラインが走っている。ノルドパイプライン、ビエラ・ルシとバルト3国からポーランド、ドイツへ至るパイプライン、そしてクルスクからウクライナを通り、スロバキア、ハンガリー、チェコ、クロアチアに流れるパイプラインだ。

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