中国「BYD」大躍進の理由は"EVじゃなかった"衝撃 アメリカでの「EV一服」は中国も例外じゃない
東洋経済オンライン / 2025年1月17日 8時0分
テスラすら前年割れした中で、なぜBYDが100万台以上販売を伸ばせたのか。ひとつは主戦場とする中国の自動車市場が2024年も成長を続け、その恩恵を受けることができたからだ。
中国政府は昨年、景気対策として自動車の買い替えに補助金を導入した。政策効果はてきめんで、中国汽車工業協会が1月13日に発表した2024年の中国新車販売台数(輸出を含む)は、前年比4.5%増の3143万6000台と、過去最高を記録した。
ガソリン車より新エネルギー車(EV、PHV)への買い替えのほうが補助金の額が大きかったことから、新エネ車シフトは一層加速し、新車市場全体に占める新エネ車の比率は40.9%に高まった。
テスラの2024年の中国でのEV販売台数も前年比8.8%増の65万7000台と過去最高を記録しており、アメリカの不振をカバーするうえで大きな役割を果たしたことがわかる。
一方、全体が伸びているので見落としがちだが、アメリカを中心に世界で起きている「EV需要の一服」は、中国も例外でない。
中国政府がガソリン車と分けている「新エネ車」はEVだけでなくPHV、燃料電池車(FCV)も含まれている。
2020年以降の中国の新エネ車シフトはテスラが牽引し、EVが中心だったため、新エネ車販売の内訳は2022年までEVとPHVが8:2で推移していた。だが2023年以降PHVの比率が拡大し、2024年の内訳はEVが前年比15.5%増の771万9000台、PHVが同83.3%増の514万1000台で、6:4まで差が詰まった。
EVのみを展開するテスラに対し、BYDはもともとEVとPHVを展開していた。2024年は「EVはガソリン車より安い」というスローガンを掲げてEVの価格破壊を仕掛けると同時に、PHVの技術革新と車種拡充にも力を注いだ。
2024年5月に独自のPHV技術「DM-i」を刷新した。フル充電で、ガソリンを満タンにしたときの航続距離を2100キロメートルに伸ばした。
同技術を搭載したPHV「秦L DM-i」「海豹(シール) 06 DM-i」はそれぞれ9万9800元(約210万円)~で発売され、大ヒットした。
実際、BYDの2024年の乗用車販売はEVが前年比12%増の176万4992台、PHVが同73%増の248万5378台で、市場全体の伸びと近い曲線になっている。
日本にもPHV投入か
BYDが日本に乗用車を投入して間もなく2年になる。これまでEV3車種を投入し、最近、4車種目としてSUV「シーライオン7」を発売することが発表された。
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