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ニューヨークの死体調査官が目撃した悲惨な現場 「死体と話す NY死体調査官が見た5000の死」

東洋経済オンライン / 2025年1月18日 15時0分

検死の結果、ジョハリスはレイプされ、首を絞められたあと、火をつけられたことがわかった。火傷は生前のものと死後のものの両方があり、つまりジョハリスは生きている時に火を放たれたということだ。意識はあったのか? だとしたら耐えられないほどの痛みだっただろう。身体が燃えている間、彼女がおとなしく壁に寄りかかっていたはずはない。人間の身体は痛みの感覚を使って、自分の身体が破壊されようとしていると警告する──痛みは「やめろ! 逃げろ! 何とかしろ!」と叫ぶ身体からのおぞましい信号なのだ。ダメージが大きくなればなるほど、苦痛も大きくなる。痛みの目的は生存なのだ。

皮膚に残っていた赤らんだ格子状の跡についても、手がかりが見つかった。警察が防犯カメラの映像を確認したところ、一人の男がショッピングカートに大きな荷物を載せて建物の中に入っていくところが映っていたのだ。シートで覆われて見えなかったが、カートの中身はジョハリス・カストロだった。意識を失った彼女は、身体を折り曲げられてカートに入れられていたため、金網に押しつけられていた脚や腕に格子状の跡が残ったのだ。これは生活反応だ。彼女は瀕死の状態になるまで首を絞められ、それから庭でゴミを燃やすみたいに燃やされたのだ。

殺人者はまだどこかにいる。

わたしは何とかその日を乗り切り、その翌日も乗り切った。酒に手を出すことなく、仕事をこなした。容疑者が逮捕されることを期待しながら、新聞を開いてジョハリス・カストロの殺人事件の記事を探した。だがそれは無駄な行為だった。パークアベニューに住む少女の殺害事件だったら、新聞の見出しに掲載されて街は大騒ぎになっただろう。人々は激怒すると共に警戒しただろう。だが、公営住宅に住む褐色の肌をしたかわいい少女となると話は別だ。彼女の事件に対する関心はそれほど高くはなかった。

数か月後、事件現場からオフィスに戻ってきたランディが、わたしの机の隣に巡業バッグをどさりと置いてわたしを見た。

「公営住宅の最上階の階段の踊り場で亡くなっていた10代の少女を調べたのはきみだったよね?」

「ええ。火をつけられた小柄な少女でしょ。104番通りの。何かあったの?」

「さっきまで東112番通りの公営住宅で捜査してたんだよ。被害者は同じようにレイプされて絞殺されていた。でも火傷はしていない。被害者は最上階の階段の踊り場で壁に寄りかかっていた。レニーが現場にいた。彼はきみの事案にも関わったんだってな。その現場を見て、あの事件を思い出したって言ってたよ」

少女たちを殺害したのは誰か

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