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ニューヨークの死体調査官が目撃した悲惨な現場 「死体と話す NY死体調査官が見た5000の死」

東洋経済オンライン / 2025年1月18日 15時0分

今回の被害者はラシーダ・ワシントンという、ブティックでバイトしながらファッションを学ぶ学生だった。亡くなったのは18歳の誕生日の三日後だった。被害者はこの二人にとどまらなかった。14歳の少女一人と、15歳の少女が二人。他に、髪に小さな髪留めをつけた13歳の少女もいた。泣き叫ぶ少女をよそに、男はアナルセックスを強要して「女らしく受け入れろ」と脅したという。別の少女は、こんなハンサムな男に犯されるなんておまえは「ラッキー」だと言われたという。それも、ナイフを突きつけられながら、だ。

それ以前に13歳のパオラ・イエラも殺害されていた。やや細身の体つきに色白の肌、天然パーマで暗褐色の髪をしたパオラは、学校から帰って来ると、建物入口のブザーを鳴らして母親に中に入れてくれと頼み、それからエレベーターに乗った。そのエレベーターに殺人犯も一緒に乗り込んだのだった。その後彼女の遺体は、FDRドライブの近くをジョギングしていた人によって発見された。アナルセックスを強いられたあと、刃物で刺し殺されていた。腕にニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックの腕時計をはめていた。

少女たちの体内から見つかった精液はすべて一人の加害者に結びついていた。だが一体誰なのか? 1997年当時、すべての凶悪犯のDNAの型を登録することはまだ義務づけられておらず、有罪判決を受けた犯罪者のデータベースはまだ少なかった。データベースで一致しなければ、現場で集めたDNAも役に立たなかった。

「ニューヨークの死体調査官が容疑者に抱いた感情」に続く

バーバラ・ブッチャー

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