睡眠研究でみる「眠りの質」良い人・悪い人の特徴 「よく寝た」と思っても熟睡できていないことも
東洋経済オンライン / 2025年1月19日 12時0分
正しい睡眠習慣が身に付くメソッドを紹介した、「昼間の睡魔」を解消できる"正しい休日の眠り方"(前編:「昼間の睡魔」を解消できる"正しい休日の眠り方")では、睡眠負債を返済するためのポイントを整理した。
仕事をしている日の昼間に眠気が出なくなったのであれば、それは「睡眠負債を解消できた」というバロメーターになりそうだ(もっとも、また寝不足が続けば負債を抱えることになるが……)。
そうなると次に気になるのは、“睡眠の質”を高めるためにはどうしたらいいか、ではないだろうか。睡眠の専門家である筑波大学教授で国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史氏に前編に引き続いて話を聞いた。
主観的な面と客観的な面がある
睡眠時間という“量”に加えて、どのようにすればその“質”を向上させることができるかも、たびたび話題になる。
「睡眠の質がいいに越したことはないが、数値などで定量化するのは非常に難しい」と柳沢氏。質を評価するときは主観的な面だけでなく、客観的な面の両方から見なければならないという。
柳沢氏らによる睡眠の主観的評価と客観的評価についての研究で、「自分は寝られていない」と答えた人の約65%が実は寝られていたという結果もある。反対に、本人はぐっすり眠れたと思っていても、実は睡眠の質が悪いというケースもある。
睡眠の質は脳波や酸素飽和度で測定
主観的な睡眠の質とは、眠れたという実感や、朝起きたときにすっきりしたという睡眠休養感がある状態をいう。
一方、客観的な睡眠の質とは、睡眠中の脳波の動きや血液中の酸素飽和度(以下、SpO2)の変化を測定してわかるものをいう。最近はこうしたデータから睡眠の質を「見える化」し、どのような睡眠をしているかを明確にしようとする取り組みがある。
睡眠中の脳波は脳波測定器で、SpO2はパルスオキシメーターで測定できる。柳沢氏らが開発したデバイスを使えば、いずれも自宅での測定が可能だ。パルスオキシメーターとは、指先などに光をあてることによりSpO2と脈拍数を測定する装置。コロナ禍には重症化の度合を判断する際に使われたので、その存在を知っている人も多いだろう。
まずは睡眠中の脳波とSpO2の推移を紹介しよう。
下記グラフの上段は若い人、下段は中高年の人のものだ(※外部配信先ではグラフを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
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