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創業22年で「過去最高の売上」ラーメン店主の勝因 「好き」をとことん突き詰める、渡辺樹庵の流儀

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 8時50分

このラーメンには実はストーリーがあった。

樹庵さんは昨年8月に千葉県大網白里市にある「古民家ヌードゥル 黒揚羽森住」というラーメン店に食べに行った。このお店はもともと「ちゃぶ屋」を開いていた店主・森住康二さんが営むお店である。

森住さんはフレンチのコックとして10年間修業後、ラーメンの世界に転身し29歳で独立し、1996年に東京都荒川区新三河島に「柳麺 ちゃぶ屋」を開業した。2002年には「TVチャンピオン」のラーメン職人選手権で優勝。海外では『ミシュランガイド』の一つ星も獲得したこともあるレジェンドオブレジェンドである。

「黒揚羽森住」のお店の世界観と森住さんのラーメンに感動した樹庵さんは、家に帰って森住さんに自分のYouTubeにどうしても出演してほしいと思い、ダメ元でオファーをした。

すると森住さんは快諾してくれ、樹庵さんのYouTubeで森住さんのインタビューが配信された。ラーメン界のレジェンドである森住さんのインタビューが配信されたことで、筆者も含めたラーメンファンは皆驚いた。

20年ぐらい前はよくテレビに出ていた森住さんだったが、今の森住さんのラーメン観や当時の話が聞けたことは大変貴重だった。

その後、森住さんが「渡なべ」を訪れ、樹庵さんのラーメンを食べることになる。そこで樹庵さんはとんでもないことを思いつく。それは、当時の「ちゃぶ屋」の味を「渡なべ」の限定ラーメンで出せないかということだった。

「『ちゃぶ屋』の味を作りたいので、当時使っていた食材などヒントをいただけないかと森住さんにお願いしたところ、『昔のレシピを探してみるよ』と言われ、1996年当時の完全レシピを見せてくれたんです。『樹庵が作るなら完璧なものを出してほしい』という森住さんの思いを受け取りました」(樹庵さん)

もちろん森住さんの方が先輩だが、樹庵さんもれっきとしたベテランのラーメン職人。

当時はラーメン戦争のど真ん中を走っていた2人が、十数年の時を経て、遠かった距離が一気に近づいたと樹庵さんは感じたという。気づいたらお互いを認め合う関係になっていたのだ。

こうして、「ちゃぶ屋」の当時のラーメンを再現するまでのストーリーをYouTubeにアップし続け、これが12月の限定ラーメンとして発売されたのだ。

森住さんのYouTube登場から追い続けたラーメンファンがこぞってこの限定ラーメンを食べに来た。醤油と味噌を3回ずつ食べに来た限定ファンもいたという。

ラーメンYouTuberとしても精力的に発信

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