「選挙の推し活化」と希望格差社会の因果関係 「希望なき社会」の選挙で何が求められるのか
東洋経済オンライン / 2025年1月22日 10時0分
そして、安倍元首相の長期政権も、「安倍」氏への個人的魅力に負っていた面が強かった。「なんとなく安倍さんが好き」という人の話を何度か聞いたことがある。
4年前の総選挙時の「維新の会」の躍進もそうである。政策への支持ではなく、ファンとしての支持なので、魅力がなくなれば、あっという間にその支持が低下し、別の魅力がある「推し」に乗り換えるのも「推し活」の特徴でもある。
投票行動に生じた変化
政治における投票行動が、「利害」や「価値観」から「魅力」の有無への変化はどのような理由で起こったのだろうか。
昔、政治社会学で習ったのは、人々の投票行動を左右するのは、所属集団であるというテーゼである。つまり、その人が所属する集団や組織が支持する人に投票するというものである。
業界団体、宗教組織、労働組合、地域の自治組織、親族集団などの中間集団が、支持する候補を決め、メンバーやその家族に投票を促す。もちろん、いまだ多くの人は所属集団の決めた人に投票している。組織は、自分の組織に最も利益がある(=組織の一員でもある個人の利害にも合致する)政党や個人を支持するという構図である。
また、投票行動は、イデオロギーにも左右される。イデオロギーは、ここでは、「正しい社会のあり方」に関する価値意識、とりわけ、将来の社会のあり方に対する価値意識と定義しておく。平等な社会がよいか、自由な社会がよいか、伝統的な社会がよいか、といった価値意識がその価値意識にあった候補者に投票するというものである。
どちらにせよ、自分や組織にとって最も利益があると思う政党、候補者、もしくは、自分のイデオロギー(正しい社会のあり方)にあった政党、候補者を選ぶというのが、伝統的な投票行動に対する考え方であろう。
新たに出てきた、推し活の投票行動は、自分の利害関心やイデオロギーとは関係ないところで投票先を決める、つまりは、候補者や政党の「キャラクター」が「好き」かどうかが唯一基準であり、それらを当選させること自体が目的。つまり、自分が推した候補者が票を集めれば、自分の「好き」が肯定されたことになって満足する。彼らがどのような政策をするかどうかには、あまり関心がないというのが、実情ではないだろうか。
選挙の推し活化の背景にあるのは、いわゆる「無党派層」の増大である。無党派層は、基本的には、既存の中間集団に属していない、もしくは形式的に属していても、組織や団体の投票指示には従わない人々としておく。
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