トランプ後「EV一辺倒」が変化する自動車産業 より現実的な脱炭素戦略への変化が加速化
東洋経済オンライン / 2025年1月22日 7時50分
三菱自動車のプラグインハイブリッド車(PHEV)「アウトランダー」の充電を実演する係員。2024年10月15日火曜日、千葉で開催されたジャパンモビリティショーで(写真・2024 Bloomberg Finance LP)
2025年1月20日、トランプ大統領が再びホワイトハウスに戻ってきた。2017年の初回就任時は、「予測不可能」(unpredictable)と言われたが、今回は「トランプ流」の外交政策、経済政策は一定の予測が可能であり、世界はその準備に入っている。
しかし、前回とまったく異なるのは、トランプを取り巻く世界情勢の方であり、こちらの予測は困難である。
世界の地政学がどう変わる
前回のトランプ大統領就任時は、世界は2008年のリーマンショックから立ち直り、経済も国際情勢も比較的順調に推移していた。「パリ合意」(2016年発効)により、世界は脱炭素に向け本格的に動いていた。また、米中関係も良好だったと言える。
ところが、今回は、ロシアの侵略によるウクライナとの戦争、停戦状態にあるものの先が見通せないイスラエルとイラン勢力との紛争、米中対立の激化、台湾問題など、世界が大揺れの状態である。こうした問題にトランプ大統領は、どのように対処していくのか。
トランプ政権で国防次官に起用され、政策立案を担うコルビー氏は、「America must face reality and prioritise China over Europe」と題したコラムを就任直前に『フィナンシャルタイムズ』へ投稿しているが、その中で、最優先は「中国」への対抗と述べている。
アメリカの対中戦略で絶対に必要なのは、日本の技術力・生産力と防衛能力だ。台湾有事が発生した場合、日本の支援がなければアメリカは中国に勝てないという説は、アメリカの軍事専門家の間では常識になっている。よって、トランプ政権も日本は最重要の同盟国と見ているだろう。
トランプ政権は、中国製品へ追加関税を課し、とくに中国製EV(電気自動車)に対しては徹底的に排除を図る可能性が高い。
単にダンピングという理由だけでなく、「中国はEV内コンピューターを使って、アメリカのユーザーのデータや車内会話を盗み取るリスクがある」と、バイデン政権で商務長官を務めたレモンド氏がCNNの番組で述べている。
日本が打ち出すべきWin-Win政策は?
日本に対しては、対中国戦略で重要なパートナーであることから、アメリカの貿易赤字削減への道を示せば、関税などの報復措置はとってこないのではないかと思える。よって、日本としては、Win-Winが成り立ちやすい政策を打ち出せばよい。
例えば、ロシアから購入し続けている天然ガスをアメリカからの購入にシフトすることやトマホーク・ミサイルなどの防衛設備の輸入拡大など、アメリカの貿易赤字の縮小策を示すことなどが考えられる。
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