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トランプ後「EV一辺倒」が変化する自動車産業 より現実的な脱炭素戦略への変化が加速化

東洋経済オンライン / 2025年1月22日 7時50分

また、トランプ政権は、日本の「円安」を攻撃する可能性がある。日本もインフレを抑えるためには、多少の円高が望ましいと思える。日本の自動車産業としては、円安時代が終わることをまず覚悟すべきだろう。

エネルギー政策としては、トランプが選挙運動中に「もっと掘って掘りまくれ」とのスローガンを使った石油・天然ガスの増産、輸出拡大が、自動車産業に大きな変化をもたらすだろう。「パリ協定」からの離脱もほぼ確実である。

先日、ESG(環境・社会・企業統治)投資の旗手であったブラックロックが、脱炭素を目指す資産運用会社のグループ「NZAM」からの離脱を決めた。アメリカでは、バイデン政権が進めた脱炭素の流れに大きくブレーキがかかる。

EVについてもアメリカ・共和党は「財政が厳しい中、価格競争力のないEVに補助金を付けてまで売ることはない」という考え方だ。よって、トランプ政権はEV補助金の減額、もしくは撤廃に動くとみられる。

ただし、EVそのものを反対しているということではない。EV「テスラ」のイーロン・マスクが政権に入ることからも、EVやバッテリーの投資、技術革新には積極策を打ってくるだろう。

そうした中、やはり注目を集めるのは、ハイブリッド車だ。ハイブリッド車は、脱炭素に貢献でき価格競争力もある。『ワシントンポスト』は2024年の最も環境にやさしいクルマとして、EVではなくトヨタ・プリウスPHEV(プラグイン・ハイブリッド)を選んでいる。

ハイブリッドブームがアメリカで続く

プリウスPHEVのEV走行距離は87キロメートル(WLTCモード、市街地・郊外・高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成された国際的な燃費測定方法)だ。

街乗りとしては十分EVとして活用でき、遠乗りする時にはハイブリッド走行をすれば、バッテリー切れなど気にしなくてよい。価格競争力も十分あるので補助金がなくても売れるというわけだ。

また、中国の低価格のEVはアメリカの市場から排除されていく。そのためアメリカでのハイブリッドやプラグインハイブリッド人気はさらに高まり、今後数年は続くであろう。

視点をヨーロッパに移そう。2024年6月に欧州議会選挙が実施され、これまで強かったグリーン(環境)系の政党が議席を落とし、極右・右派政党が議席を増やした。国別に見てもドイツ、フランスなどでも右傾化が顕著であり、どこも与党は惨敗状態である。

この背景としては、2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアからの天然ガス、石油の欧州への供給が大幅に減ったことが大きい。それによりエネルギー価格が高騰、そして物価高が家計を襲った。インフレは2023年には緩和されたが、低所得者層では賃金が上昇せず政権への不満が溜まっていった。

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