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これからの日本に本当に必要な株式市場とは何か 投資量を増やし株価を膨らませても意味がない

東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時30分

一方、駄目な企業の株価は下がり、上場が難しくなり、非上場化されるか、買収されるか、清算されるかとなる。要は、株式市場の目利き機能である。これが最も重要だという認識はもちろん正しい。いつも何でも反対する私にも、これは反対できないどころが、これ以上重要な機能は株式市場にはないのである。

「資産の運用機能」には本来「相当な警戒」が必要

3番目の「資金の運用機能」とは、例えば、今はやりの(もう流行は終わる頃だろうか)NISA(少額投資非課税制度)である。一般投資家にも、資産運用の機会を与える、ということである。

私は、こちらには猛烈に反対である。正確に言えば、相当警戒しなければいけない罠になる可能性があると思っている。

なぜ、そのような機会を国民に広く与える必要があるのか。「そんなの当然」と思われるだろうが、普段は既得権益を目の敵にする読者のみなさんは、何か気づかないだろうか。普段は、既得権益者はその利権を手放すのはもちろん、広く他の人とシェアすることにはとてつもなく抵抗するはずではないか。

なぜこのケースでは、富裕層たち、あるいは機関投資家はNISAに大賛成だったのであろうか。それは、仲間を増やしたほうが、自分たちにとって得だからである。買い手が増えれば値上がりする。そうすれば自分の持ち株は上がる。だから仲間は増やしたい。つまり「自分も儲かるから、貴方も一緒に儲けましょう」ということなのである。

本来、こんな投資話が来たら、まともな人間だったら、即刻無視するだろう。典型的な詐欺的な投資勧誘案件と、言っていることがほとんど同じであるからである。唯一違うのは、そして大きく違うのは、その勧誘主が政府であり、かつ証券取引所のお墨付きがあり、かつ世間では株式投資は長年、誰でも行っていることはよく知っていることである。これが先だったら、すべての投資の勧誘は詐欺になってしまう。

個人投資家にも「少しだけ利益をあげる」という側面も

中立的に述べると、株式市場というものは、仲間を増やすことによって参加者の多くが儲かる仕組みであり、その意味ではねずみ講とまったく同じである。

だが、ねずみ講として違法とされているものは、投資の実態がないものであるから、その意味では、違法なねずみ講とは決定的に異なる、ということである。ひとことで言えば、株式市場とは「合法的な『実体のあるねずみ講』」なのである。これは私の『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)の前書きにも書いてあるとおり、私の長年の主張であり、そして間違いなく正しい。

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