1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

これからの日本に本当に必要な株式市場とは何か 投資量を増やし株価を膨らませても意味がない

東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時30分

このとき、不動産物件は、上流から下流に流れていく。要は、リスクも下がりリターンも安定すると言えば聞こえはいいが、おいしいところをどんどん取られていき、「出がらし」になったものを上場有価証券投資家には与えておけばいい、ということである。不動産投資運用会社にとっては、「出口の確保」であり、悪く言えば、最後にいちばん高く買ってくれる投資家として利用しているわけだ。まあ、上場だから安心ということで投資しているような素人だから、分相応ということだ。

不動産ファンドの場合は明確で比較的わかりやすいが、上場株も、要はそういうことである。

取引所は「バブルに庶民を巻きこむ手段」だった

株式会社が成立した大航海時代の東インド株式会社のように、冒険に金を出して大きな利権を得る。そのとき、大規模に資金調達するときに、1人からだけでは出資をすべてまかないきれないから他の金持ちからも出資を募った。

エリザベス女王もうまくやったと言えるが、王室だけでは資金が足りないときに他の有力者を巻き込んだ、ということになる。証券取引所の整備は、国民から幅広く資金調達を募るため、それは既存の合資会社(持ち株会社、財閥)だけでは、重工業化が進んだことにより必要資本額が大幅に増えたから、と日本経済の歴史では説明されている。

しかし、そんな綺麗ごとは日本経済史の教科書だけの話である。欧州で株式投資が広まったのは、1720年代の南海泡沫事件であり、フランス国王に錬金術を売り込んだジョン・ローの仕業なのである。その後も、アメリカのミシシッピバブル、鉄道バブルと懲りずにまったく同じ構造が繰り返された。つまり、証券取引所の発達とは、バブルに庶民を巻き込むための手段として起きてきたのである。

それは、現代でも変わらない。1980年代のアメリカのジャンクボンド市場を作り上げたマイケル・ミルケン、2000年代、サブプライムをはじめ多くの仕組み債を売りつけた欧米の投資銀行、あるいは法律的な違法性こそないが「これからはBRICsだ、原油は1バレル=200ドルに達する」、といったレポートを、自分たちは投資を散々仕込んだ後に、一般大衆にバラまき出口を作った、アメリカの最有力投資銀行などだ。

金融商品とは、つねにそういうものである。利便性を高め、プロ用から素人用に商品設計をした時点で、売る側がリスクを取らずに儲かる仕組みになっているのである。

それが悪質かどうか、あるいは程度問題で利益を卸から小売りという意味で、まあまあ妥当に分配しているかどうか、それだけの問題であり、構造は変わらない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください