「認知症予備軍」早期発見する重要な"8つのサイン" 「物忘れ」「料理の味が変わった」に要注意
東洋経済オンライン / 2025年1月29日 7時50分
高齢化社会の進展によって「認知症予備軍」と呼ばれる「軽度認知障害(MCI)」の人が増えています。MCIは進行して認知症に移行するリスクがある一方で、いち早く気づいて対策できれば、進行を遅らせることができます。ではMCIを見分けるにはどうすればいいのか。認知症に詳しい伊藤たえ医師が解説します。
増え続ける認知症者数
日本の高齢化率が上昇するなか、認知症者数も増え続けています。65歳以上で介護・支援を必要とする認知症の方は2022年時点で約443万人、2030年には約523万人、2060年には約645万人になると言われています。
一方、同じように増加しているのが、MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)の方です。2022年時点で約558万人、2030年には約593万人、2060年になると高齢者の数自体が減ることから認知症者数より減りますが、それでも約632万人になると推計されています。東京八王子市にある当院関連のクリニックでも、認知症やMCIを疑う方の来院は年々増えている状況です。
そもそも認知症とは、さまざまな要因により脳の働きが悪くなったり脳細胞が死んだりすることで、記憶や判断力に障害が起き、生活に支障をきたす状態のことを指します。
主な症状としては、記憶機能や言語、運動といった認知機能が低下する「認知機能障害」や、歩行や移動、食事といった基本的な身体動作、交通機関の利用や電話対応、買い物など生活関連動作の機能が低下する「生活機能障害」が見られます。
加齢により多くの方は「もの忘れ」を経験しますが、それはあくまでも体験したことの一部分を忘れることにとどまります。かたや認知症では、出来事自体の記憶障害が目立ち、体験したことすべてを忘れるのが大きな違いです。
例えば、朝ごはんのメニューを忘れるのは加齢が原因ですが、朝ごはんを食べたこと自体を忘れるのは認知症によるもの忘れだと考えられます。
●認知症で低下する認知機能
・記憶機能
・見当識(時間や場所、人物などを認識する能力)
・複雑性注意(注意力の維持、振り分け)
・実行機能(計画の立案、実行)
・言語(言語の理解、表現)
・知覚・運動(正しい知覚、適切な道具の使用)
・社会的認知(周囲への配慮、表情の把握)
認知症には主に4つのタイプがある
MCIについて知る前に、認知症に関する正しい情報もお伝えします。実のところ認知症を細かく分類するとキリがなく、把握するのは大変なこと。その中で知っておきたいのは、次の4つのタイプです。
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