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名車「R32型スカイラインGT-R」をEV化した真意 日産が旧車のカスタマイズを披露した理由とは

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 12時0分

ちなみにインテリアも、ほぼオリジナルに忠実だ。だだし、シフトノブは見た目こそ同じだが、シフトパターンは「P-R-N-D」で、いわゆるAT車と同じ前後に動かすタイプに変更されている。また、メーターとセンターコンソールには液晶パネルを採用するほか、ステアリング右横にあるスターターはプッシュボタン式になるなど、細部には最新の装備も見られた。

スカイラインGT-Rを電動化した理由

以上が、R32EVの主な変更点だが、そもそも日産は、なぜR32型スカイラインGT-RをBEV化したのだろうか。また、先述したとおり、トヨタでは、旧車のパワーユニット換装事業なども検討中だと聞くが、日産でも何らかの事業化を考えているのだろうか。

これに関し、R32EVの製作チームリーダー平工良三(ひらく りょうぞう)氏は「あくまでスタディ(研究)のためで、今のところ事業化は考えていない」と語る。同氏によれば、今回のプロジェクトは、「R32型スカイラインGT-Rに乗ったときに感じるワクワク感を、後世に残すことが目的」だという。

かつて一世を風靡し、今でも現代のクルマとは違った高揚感や気持ちよさが詰まったR32型スカイラインGT-R。ただし、オリジナルの内燃機関のままでは、今後も良いコンディションを維持し、昔と変わらない乗り味をキープするのは容易ではない。そこで、「R32のアナログ(ガソリンモデル)の良さを、デジタル(EV)データで再現することで、その魅力をずっと味わえるようにしたい」との思いから、有志が集まりプロジェクトを結成。2023年3月の製作開始から約2年の月日を経て、今回ようやく完成させた。

ちなみに、平工氏によれば、今回のプロジェクトと先述したトヨタAE86のBEV化には、とくに関連はないという。たまたま似たようなコンセプトが、近い時期に両メーカーで進んだだけとのこと。

また、今回発表したR32EVに対しては、賛否両論が巻き起こっていて、愛好家の中には「電動化すべきではない」との声もあるという。ただ、逆に肯定派などからは、今後の事業化を見据えた様々な話も舞い込んでいるようで、平工氏は「今は商品化を考えていないものの、今後の展開次第では何らかの事業化もあるかもしれない」とも語る。

BEV化の賛否と今後の展開について

R32型スカイラインGT-Rは、現在、国内外のスポーツカー愛好家から大きな注目を集めており、保存状態が良ければ中古車価格が5000万円を超える車両もあるという。世界的に高い人気を誇る名車だけに、今回のBEV化プロジェクトも大きな反響を集めていることはたしかだ。もちろん、先に紹介したとおり、反対意見も多数あるようだが、個人的には大賛成だ。

理由は、古いクルマをモデファイし長く乗り続けることも、リサイクルという観点でいえば、十分「環境に優しい」といえるからだ。カーボンニュートラル実現への道筋は、なにも全てのクルマを新型BEVに置き換えるだけではない。しかも、旧車のBEV化などは、一時代を築いた名車を後世に残すための方策にもつながる。個人的には、R32EVが、今後の事業化も含め、これから何らかの展開をみせることに期待したい。

平塚 直樹:ライター&エディター

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