年収は1/3に「それでも名物DがTBSを辞めた」理由 大前プジョルジョ健太さんが辿る「奇異な人生」
東洋経済オンライン / 2025年1月30日 9時0分
人生の4分の1を過ぎた20代後半から30代が陥りがちな、漠然とした不安や焦りを抱える時期のことを「クォーターライフ・クライシス」と形容されるが、大前さんも深く考え込んでしまった。
また、自身の幸せについても考えるようになったという。
「TBSには同期が30人くらいいたんですけど、半数くらい辞めて転職しているんです。でも同じテレビ業界に移った人はいなくて、別の分野で活躍している人ばかりです。これはテレビ業界に限らず、社会の働き方の問題かもしれませんが、僕も含めて職場に『こうなりたい』と思える人がいないことが大きいかなと思います。
仕事上では尊敬する先輩や目標とするディレクターはたくさんいます。でも、仕事だけじゃなくて、将来家族ができたら家庭も大事にしたい。だいぶ働き方改革は行われてきていますが、やはり、テレビ業界はまだまだ多忙です」
人生について考え、自分が進むべき道を検討した大前さんだが、ここからの選択がどこかぶっ飛んでいる。
TBSを退職し、「バイト生活」に
「とりあえず、会社を辞めてみようかなと。というのも、『TBSドキュメンタリー映画祭』に出るために、“転職”をテーマに自分自身がTBSを退職するドキュメンタリーを撮りたいなと思ったんです。現場は面白がってくれて、まずは退職届を書いているところを撮影しました。とはいえ、軽い気持ちだったので、まさか後戻りできなくなって本当に退職してしまうとは思いませんでした」
TBSには退職から5年以内に復職できる制度があるという。大前さんはその制度を使うつもりだが、実際に戻れるのか確約はされていない。
「退職手続きのときにボイスレコーダーを仕込んでいるのがバレて怒られてしまったんですよね。それにこういった取材でいろいろ喋ってしまっているので、戻れないかもしれないですね……」
TBSを辞めてフリーの映像ディレクターになるのかと思いきや、特に当てもなかった。無職となった大前さんは、学生時代に経験した引越センターのバイトをして生活費を稼いだ。
だが、撮りたいものはあった。
現在、動画配信サービスABEMAで配信されている『国境デスロード』は、大前さんが企画・総合演出を務めるドキュメントバラエティー番組だ。世界各国にある国境を命がけで越える人々の生活に密着する番組で、そのハラハラドキドキの緊張感あふれる内容が話題となっている。
世界各国を飛び回るため、現在バイトはしていないそうだが、この番組が終わったら再びバイト生活を始めるという。
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