世界が震撼「DeepSeek」創業者による問題提起 中国の現状への率直な意見、現地でも話題に
東洋経済オンライン / 2025年1月30日 14時15分
中国のAIスタートアップDeepSeek(ディープシーク)が、低コストで高性能のAIモデルをリリースし、業界のみならず世界の株式市場を震撼させた。2023年に設立されたばかりの中国企業は何を目指しているのか。
【写真】DeepSeek創業者の梁文鋒氏。写真は李首相との会談に参加したときの様子。
ファンドも手がける創業者の梁文鋒CEOは過去のインタビューで中国企業の課題を赤裸々に語りつつ、AIモデルを「金儲けに使うつもりはない」と言い切っている。
中国ではDeepSeekの話題でお祭り騒ぎ
中国は旧正月を祝う春節休暇に入り、経済活動はストップしている。だが、ネットやSNSはDeepSeekの話題でお祭り騒ぎだ。
生成AIは中国企業にとって「魅力的だがままならない」領域である。OpenAIを擁するアメリカに技術で先行され、追いつくには巨額の資金が必要になる。さらにアメリカの輸出規制を受け「高性能半導体の調達」という壁も立ちはだかる。
DeepSeekが発表したAIモデルは、アメリカ優位の構図をひっくり返しかねないことから、アメリカではエヌビディア株が急落する「DeepSeekショック」に発展したわけだが、中国側から見れば大快挙である。
日本に例えるなら、分野は違うが、ドジャースの大谷翔平がアメリカのMLBでMVPに選ばれた、2年連続ホームラン王を獲った、くらいの騒がれ方をしている。創業者の梁CEOはSNSで「偉人」扱いだ。
世間的には彗星のように現れたDeepSeekだが、創業者の梁CEOが2015年から率いるクオンツファンド「幻方量化(High-Flyer Quant)」は、業界で「我が道を行く」企業として知られ、同CEOが2023年5月にDeepSeek(当時は「深度求索」という中国名が前面に出ていた)を立ち上げた際も、「独自の手法で面白いことをやるのではないか」と一部で注目されていた。
梁CEOは公の場に出たり、取材を受けることがほとんどなく、DeepSeekに関するインタビュー記事はテクノロジーメディア「36Kr」とその傘下メディアである「暗誦waves」の2本しか見つからない。いずれも同じ記者が2023年5月、2024年7月に取材・記事化している。
露出が極端に少ないため、「神秘的な経営者」「東洋の神秘的なAI企業」という見方もされるが、実はQ&A方式の梁CEOインタビュー記事は非常に長く、「技術」以外の多くの情報が詰まっている。
「好奇心」「金儲けのつもりはない」
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