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世界が震撼「DeepSeek」創業者による問題提起 中国の現状への率直な意見、現地でも話題に

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 14時15分

②半導体チップ1万基備蓄の目的

DeepSeekが設立されたのは2023年だが、梁CEOは2010年代から機械学習を研究し、2019年にディープラーニングの訓練プラットフォーム「蛍火一号」を、2021年にエヌビディア製(インテルという報道もある)グラフィックス処理装置(GPU)を1万基を搭載した「蛍火二号」を開発した。

中国メディアによると、アメリカが輸出を禁止する前の2021年に高性能半導体チップを1万基備蓄している中国企業は数えるほどしかなく、幻方量化以外はすべてIT大手だったことから、「なぜファンドがそんなにチップを買い込んでいたのか」「先見の明だ」と話題になった。

梁CEOはインタビューで、2015年までに100基、2019年に1000基を購入し、その後1万基まで買い増したと明かし、その理由を「好奇心」と説明した。

梁CEOによると2012年、ディープラーニングを用いた画像認識の技術進展に貢献したAlexNetの登場に刺激を受けてAIの動向を注視するようになり、2020年にOpenAIがGPT-3を発表したことで、「AIの発展には大きな計算力が必要になる」という方向性が見えたため、チップの研究や調達に力を入れるようになったという。

③目標はAGIの実現

DeepSeekを立ち上げ、AIモデルを開発する目的について、梁CEOは「(人間同様の知能を持つ)AGI(汎用人工知能)実現に向けた過程の1つで、探索、研究のため」と明言している。彼にとってAGIは金融に続く「困難なチャレンジ」だという。

生成AIはマイクロソフトやグーグル、バイドゥなど米中メガテックがしのぎを削る分野で、いずれも自社のエコシステム拡大のキーとなる技術と位置付けている。

一方梁CEOにとって、生成AIはAGIのための「基礎研究」で、ビジネス展開は(インタビュー時点で)考えていないそうだ。

ちなみにDeepSeekは2024年5月にオープンソースの格安AIモデル「DeepSeek V2」をリリースし、中国の生成AIに価格競争を引き起こした。これが話題を呼び、格安越境EC「Temu」を運営する「拼多多」になぞらえて、「AI界の拼多多」という異名もついた。

このとき梁CEOは「ユーザーを奪うことが目的ではない。開発コストが下がったから安く提供したし、AIは誰にでも手が届くものであるべきだ」と語り、ビジネスの論理とは一線を画す姿勢を強調している。

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