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世界が震撼「DeepSeek」創業者による問題提起 中国の現状への率直な意見、現地でも話題に

東洋経済オンライン / 2025年1月30日 14時15分

同時に、売り上げや利益を目指さない姿勢だとVCから資金調達しにくいという現実も明かしている。

海外での留学経験・就業経験がない

④国内の新卒者を採用

中国が直面する生成AIの壁は、チップ調達だけでない。人材不足も深刻だ。国営メディアは2030年に中国のAI人材が400万人不足するとの試算を紹介している。

中国の理系トップ人材がアメリカに流出し、OpenAIやグーグルなどテック企業の技術開発を支えているのは周知の事実だ。

OpenAIの「GPT-4o」開発チームの主要メンバーには北京大、清華大、中国科学技術大など中国トップ大学を卒業し、アメリカの大学院を経てアメリカのテック企業に就職した華人華僑が多く含まれている。

創業から1年余りで計1億3500万ドルを調達し、注目を集めたアメリカの生成AIスタートアップ「Pika」は、創業メンバー4人のうち3人が中国系で、郭文景CEOは中国で過ごした高校時代、「天才美少女」として知られていた。その後ハーバード大に進学しアメリカに根を下ろした。

中国企業、ましてやスタートアップがAIのトップ人材を獲得することは極めて難しい。

事実、DeepSeekは梁CEOをはじめメンバーのほとんどが海外留学・就業経験を持たない「国内組」だという。

梁CEOによると、エンジニアの多くは新卒か、社会に出て1~2年の「第二新卒」で採用した。同社の求人では日給500~1000元の条件で学生インターンも募集している。

実績のないスタートアップであるDeepSeekは現実的に実務経験のない若手を採用するしかないのだろうが、梁CEOはインタビューで「短期的には経験者を雇うのが正解だが、長期的にみれば基礎能力、創造性や愛のほうが大事だ」「経験豊富な人は、深く考えることなく『こうやるべきだ』となりがち。経験のない人のほうが、模索を繰り返し本質的なやり方にたどり着く」と持論を述べている。

強がりもあるのかもしれないが、金融の素人でクオンツファンド「幻方量化」を設立し、成長させた成功体験から「素人集団がつくりあげたビジネスモデルのほうが模倣されにくい」という信念も見える。

今の中国は能力と経済力があれば留学して箔をつけるのが成功ルートになっており、製品やサービスが成功すれば、あっという間に模倣と価格競争が始まる。ただ、全体で見ればそこから取り残されている人のほうが圧倒的に多い。

中国の人材を一から育て、「真似せず真似されない」独自の価値をつくりあげるという梁CEOの考え方が、中国で広く共感を呼ぶのは想像にかたくない。

「中国はイノベーションが弱い」発言も

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