世界が震撼「DeepSeek」創業者による問題提起 中国の現状への率直な意見、現地でも話題に
東洋経済オンライン / 2025年1月30日 14時15分
取材側の視点でいうと「取れ高が少ない」経営者なのかもしれない。AIの未来もビジネスモデルも語らない。「好奇心でやっている」「お金を稼ぐつもりはない」と繰り返す。梁CEOが「ピュアな技術オタク」「理想主義者」であることが伝わってくる。
かつての中国にこういう起業家がいなかったわけではない。1999年にアリババを創業したジャック・マー氏は売り上げが立つ前からひたすら理想の社会を語り、数年は「ほら吹き」呼ばわりされていた。
梁CEOは混迷が続く中国経済界、あるいは中国社会にとって、ジャック・マー以来数十年ぶりに現れた「誰もがわくわくする存在」なのかもしれない。
梁CEOの発言録から、DeepSeekとその創業者の目指すものを読み解きたい。
➀ファンドから生成AIに進出した理由
梁CEOは2015年にクオンツファンド「幻方量化」を設立し、同社が出資する形で2023年5月にDeepSeekを立ち上げた。
2022年11月末に公開されたChatGPTをきっかけに、中国でもバイドゥ(百度)、アリババ、バイトダンス(字節跳動)からスタートアップまで、多くのテック企業が生成AIへの参入を宣言した。そのころには、すでに参入過剰が問題視されていた。
生成AIが大いに盛り上がっているとは言え、大規模言語モデルには巨額の研究開発費が必要で、ビジネス展開の道筋も見えていない。異業種、かつスタートアップの幻方量化が成功を収められるとは考えにくかったが、梁CEOは大学、大学院でAIを専攻し、クオンツファンドの展開においても機械学習の研究開発を続けるなど、自身を「AIの技術者」と捉えていた。
クオンツファンド設立時のメンバーの多くはAI人材だったそうで、インタビューでは「自分も含めて金融の素人だったからこそ、セオリーにとらわれず自分たちのやり方で成功できた」と語っている。事実、幻方量化は独自のやり方で短期間に業界上位のファンドに浮上し、「攪乱者」と認識されていたようだ。
梁CEOは学生だった2008年に中国株のトレードを始め、徐々にフィンテックとの関わりを強めていったが、そこには金融危機という時代の影響もあったとされる。
元々AI技術者だった梁CEOにとって、AIが爆発的進化を遂げている時期に参入するのは自然なことであり、金融での成功体験から業界経験がないことを不利とは思わなかったようだ。
梁氏のファンドが大量にチップを買い込む
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