1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

蒲田から蒲田へ「たった800m」の新線に集まる期待 渋谷~羽田空港「新空港線」メリットと実現への課題

東洋経済オンライン / 2025年1月31日 19時30分

たった800mの鉄道新線「新空港線」(蒲蒲線)が構想されている(写真:genki/PIXTA)

「蒲田から蒲田へ」。たった800mの鉄道新線「新空港線」(蒲蒲線)が、20年以上の検討期間を経て、ようやく建設に向けて動き始めた。

【画像】新線ができる場所はここ。これまでは徒歩での乗り換えを余儀なくされていた

約1250億円を投じる鉄道新線の建設は、地元・大田区や東急電鉄にも相応のメリットがあるという。これまでの経緯を追いつつ、「線路幅の違い「京急との協力関係」といった課題についても解説していこう。

新空港線が持つ「2つの役割」

東京都大田区で、20年以上にわたって検討されてきた鉄道新線「新空港線」(蒲蒲線)の建設に向けて、東急電鉄が営業構想の認定を国土交通省に申請した。

東京都大田区・蒲田エリアでは、東急・JRの蒲田駅と京急蒲田駅が約800mも離れており、現状では徒歩移動で乗り換える人が多い。「新空港線」はまず東急多摩川線・蒲田駅の西側から分岐して京急蒲田駅までの新線建設で徒歩移動を解消し、将来的には京急蒲田駅から京急空港線・大鳥居駅近辺までの連絡線を建設、羽田空港までの乗り入れも検討している。

「新空港線」によって徒歩移動が解消されると、以下のような移動時間の大幅短縮が実現する。

・東急・中目黒駅~京急蒲田駅間:約36分→約23分(約13分短縮)
・東急・自由が丘駅~京急蒲田駅間:約37分→約15分(約22分短縮)

さらに「新空港線」の開業とともに東急東横線・多摩川線からの乗り入れが予定されており、「渋谷~京急蒲田間の直通列車」が走るという。京急蒲田駅での乗り換え1回で渋谷~羽田空港間を移動できる新ルートは、多くの訪日客・インバウンド観光客に利用されることとなるだろう。

この「新空港線」は、800mの鉄道建設で約1250億円の整備費用を必要とする。東京メトロの鉄道新線「南北線・品川延伸(2.5km・約1310億円)」「有楽町線・住吉延伸(4.8km・約2690億円)と比べても、かなりの“コスト高“だ。にもかかわらず、大田区は少なからぬ費用負担を早々に表明し、「新空港線」建設に何とか道筋を付けようとしていた。

なぜ、大田区は「新空港線」建設を熱望し、なぜ今まで建設が実現しなかったのか。大田区や東急電鉄(以下:「東急」)などの動きを振り返り、それぞれのメリットを探ってみよう。

1980年代から存在した新線計画

大田区内を貫くJR京浜東北線・京急本線などの鉄道はほとんど「南北移動」のためのもので、東西方向の鉄道は東急多摩川線と、京急空港線のみ。しかし東急・京急は徒歩での乗り換えが必要で、大田区内の東西移動は全般的に面倒臭い……。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください