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閉店発表「心斎橋OPA」ジリ貧→衰退の本質理由 外国人にも日本人にも響かない施設になったワケ

東洋経済オンライン / 2025年2月1日 8時40分

思ったのは、こうしたビルの方向性自体が街全体の方向性とそぐわなくなってきたのではないか?ということ。

もちろん、日本人向けでの魅力あるテナントが入れられなかったこともあるだろうし、若者が服を店で買わなくなったという点も指摘できるだろうが、それ以上に「観光客が増加する街に付いていっていたのか?」ということが気になった。

今書いた通り、心斎橋を含むミナミエリア全体が、日本人というより外国人観光客をターゲットにしつつある。道頓堀に見られる「ザ・大阪」な雰囲気を堪能し、大丸で免税のブランド品を買い、アメリカ村で日本ならではのゴチャついた路地を楽しむ。そんな、外国人にとってわかりやすい「オオサカ」がミナミ全体で求められている。

その点、日本人向けのOPAは、ミナミエリアの雰囲気とそぐわなくなってきたのかもしれない。かと言って、「では訪日客向けに転換するのが最善手か」と言われると、難しいところだろう。建物もそれなりに老朽化してきているわけで、キャッシュに余裕のある企業なら、新たなコンセプトの施設を作ったり、立地の良さを活かして高級ホテルを作ってしまったほうが、将来的には良い場合もある(その試みが、市民にとってワクワクするものかは別として)。

一方で、面白いのは、そうしたミナミエリアに対して、大阪駅や梅田を中心とするキタエリアは、大阪らしくない少し洗練されている開発が進んでいること。「オシャレさ」はキタエリアが満たすようになっている(のかも?)。

例えば、大阪駅周辺に昨年開業した「グラングリーン大阪」の「うめきた公園」は「大阪のセントラルパーク」を目指して作られた。外国人向けの場所というよりも、地元の人のための公園として欧米風の広々とした広場が誕生している。

ちなみに「キタ」で訪日観光客に人気の観光地といえば「梅田スカイビル」だが、関西国際空港の調査によれば、そこを訪れる観光客は全体で25%。道頓堀周辺の74%には遠く及んでいない。

実際、私も体感的に、梅田駅にはインバウンド客が多いが、うめきた公園や梅田の街自体にはそこまで外国人観光客がいないな、と思う。

「ミナミ」が外国人観光客にとって魅力を持つ「大阪らしさ」を求められるのに対し、梅田はどちらかといえばそれとは異なる方向で街の姿が変わってきている。

もちろん、そう単純に分けられるものではない。ただ、観光客の増加に伴って、そのエリアの「わかりやすさ」が求められつつある側面はあると思う。その意味で、「ミナミ」と「キタ」の特性がより顕著になってくるのではないか。

心斎橋OPAの閉店には、こうした大阪の変化が刻まれていると思うのである。

【もっと読む】「若者の街」じゃなくなった渋谷への寂しさの正体 お金のない若者でも楽しめた街は、今はもうない では、「若者の街」から「ビジネスパーソンと外国人の街」へと変化する渋谷について、都市ジャーナリストの谷頭和希氏が詳細に解説している。

谷頭 和希:都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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