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観光解禁で初入国「サウジアラビア」の異世界感 異教徒への扉を開けた「FIFA2034」開催の地へ

東洋経済オンライン / 2025年2月2日 12時0分

標識に「ラクダの横断注意」「砂嵐に注意」あり

サウジアラビアの高速道路は、中東ではどこも一般にそうであるように、盛り土や高架ではなく、周囲と同じ高さで作られている。しかも、頻繁に農道と交わっているので、日本のイメージでは一般道といってもよさそうな雰囲気だ。

実際、その日の午後に走った内陸部一の観光地、アルウラへの道路は片側1車線の一般道のように見えたが、地図を見ると「高速70号線」となっていた。ただし、そもそも高速道路も通行料は無料なので、高速道と一般道の区別はほとんどないといってよい。

砂漠や岩山地帯を抜ける都市間の道路は、景色もあまり変わらず退屈だが、車窓の両側には時折、ラクダやヤギの群れが見える。「ラクダの横断注意」とか、「Sandstorm(砂嵐)に注意」という標識が頻繁に現れるのは、サウジアラビアならではだ。

ラクダはかなり大きいので、接触すればクルマにもかなりのダメージがありそうだし、砂嵐は絶対に遭遇したくない。

異教徒が入れない「聖地巡礼」の原点

アラビア半島をほぼ横断し、後半は預言者ムハンマドの霊廟がある聖地メディナ(現地語でマディーナ)と、聖地メッカへの玄関としての機能を持つ港町で、サウジアラビア第二の都市であるジェッダを訪れた。

メディナでは、ムハンマドの没した地に立ち、彼の墓の所在地でもある「預言者のモスク」と世界最古、つまり世界初のモスクであるクバー・モスクに足を運んだ。

クバー・モスクは、2023年から異教徒も建物の中に入れるようになったが、預言者のモスクのほうは、今も中に入れない。異教徒が行けるのは、敷地の入り口までだ。

このモスクの収容人員は100万人ともいわれ、祈りの時を告げるアザーンの音とともに、何千人というムスリムが吸い込まれていく。

旅の最後に、世界遺産となっているジェッダの旧市街を散策したり、世界でも指折りの透明度を誇る紅海の夕景を見るなどして、1週間の旅を終えた。

どこを訪れても人懐っこい笑顔に迎えられ、店に入れば、それが飲食店でなくてもスパイシーなサウジコーヒーと、名産のデイツ(ナツメヤシの実)の歓待を受ける。「おもてなしの国」という評判に偽りはなかったといえる。

なお、もうひとつの、そして最大の聖地メッカは、今も非イスラム教徒は、中心に建つカーバ神殿はおろか、街への入り口に検問があり、市内そのものにも入れない。その意味では、観光立国へと舵を切った一方で、厳格なイスラム国家の姿も強く残っているといえる。

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